家族信託制度

法律(その他一般)

家族信託とは

1 概要

信託とは、端的に言えば財産を誰かに預けて管理、運営してもらうことです。

たとえば、信託銀行などは、お金を預かって投資信託などで運用し、必要に応じて解約返金してもらうものです。

家族信託は、信託銀行のように銀行などでなく、同居家族や親戚などの信頼できる人に受託者になってもらって財産管理を委ねるというものです。

信託契約は、委託者と受託者との契約です。

家族信託では、委託者=高齢者、受託者=その家族となることが一般的でしょう。

そして、信託された財産から、委託者が財産を管理してもらい、受益者として一定の返金を受けれるとすれば後見人に近い制度になりますし、信託財産を他の家族に承継させるとなれば遺言に近い制度としての運用も可能です。

もっとも、信託制度を利用して遺留分の請求を逃れようとした事案で、無効と判断されています(東京地裁平成30年9月12日判決)。

家族信託では、

「信託設定の目的(何のための信託契約か)」
「信託期間(何時までするのか)」
「残余財産の帰属(残った財産は、誰にあげるか)」

の3点を適切に決めることが重要です。

そして、この3点の定め方を自己の意思で柔軟にできるから、後見や遺言の代わりになり、より柔軟な制度として運用が可能になります。

もっとも、遺言や後見はそれ独自の特色もあるので、完全に代替できるわけではありません。

2 家族信託と遺言

家族信託は遺言代用として、使われることがあります。

遺言代用信託などと言われたりします。

これは、信託契約で、亡くなった時にあらかじめ決めておいた人に財産を渡すことを定めておくものです。

例えば信託契約を締結し、ご存命中は、毎月ご本人が病院代や施設代を受け取り、お亡くなりになった後に、葬儀代を遺族が受けとれるようにしておく契約などが検討できます。

また、亡くなったとの一時金などを同居のご家族が受けとれるようにしておくことも可能でしょう。

あるいは、株の移転などを定めて、事業承継に利用することも検討できます。

このように、亡くなってからの運用や引き渡しを指定することで、信託制度は亡くなってからの財産の処理を記載する遺言に類似する機能を持たせることができます。

もっとも、遺言とは違い、信託には信託報酬が必要なこともありますし、信託契約が必要ですから、一切を秘密に自分だけで決めるということはできません。

また、この信託契約を利用して、遺留分を侵害するようなことは無効とされています(裁判例があります)。

その方の事情や希望に応じて、専門家と相談しながら、方法を検討していくことが必要でしょう。

あさがお法律事務所(遺言や信託、後見のご相談なら)

3 家族信託は後見の代用

信託は一定の契約内容で信託しているわけですから、その信託内容を、例えば毎月一定の施設費と医療費を払うような内容にすることが検討できます。

信託による場合は契約ですので、後見より柔軟に当事者で、どのような支援をするかを決めれます。

始期も終期も自由ですし(後見は判断力が無くなれば、裁判所で開始決定がされ、回復すれば取り消されます)、その範囲や使途も契約で自由に定めれます。

逆にいえば、信託契約は、当事者の内輪で決める場合は、後見より本人の保護や弱い面もあるとは言えます。

たとえば、居住不動産の処分は後見では裁判所の許可が必要ですが信託では不要です。

また訪問販売にあった場合、後見人は取消権がありますが、信託契約の受託者にはありません。

費用についてはまちまちです。

後見の場合は毎月3万前後の費用がかかりますが(平均的な資産の方の場合です)、信託の場合は信託契約の報酬をどう定めているか次第です。

目的に応じて、弁護士などに相談しながら、方針は決めるのが良いでしょう。

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