労働問題

紛争調整委員会によるあっせんとはなんですか
都道府県労働局によるものです。

当事者だけでされることもありますが、弁護士が介入して対応することもあります。

あくまで、相互にあっせん案に合意しなければ成立しませんので、必ずしも解決できるとは限りませんが、費用が掛からず迅速であるという特徴があります。
労働審判とはなんですか
労働審判(ろうどうしんぱん)は、労働者と事業主との間で起きた労働問題を労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名が審理し、解決を図る裁判所の手続きで、平成18年4月から始まった制度です。

原則は3回の期日で解決まで話を進めますので、早期の解決(それでも2-3か月はかかりますが)が可能なところに特徴があります。
弁護士が依頼を受けて介入して対応することも多いです。

この段階で、ある程度書証なども出しますし、証拠の主要な部分が開示されれば、弁護士であれば見通しもみえるところがあります。
ですので、最終は審判決定もされますし、異議があれば訴訟に移行できますが、実際には和解で終わることが相当に多い(約80パーセントとされています(平成23年統計))ものです。
労働事件で感じることはありますか
相互に極端な主張が多く、著名判例には極端なものもあります。
が、実際にはある程度の和解で常識的解決を図ることが多い事例であると思います。
ある程度見通しを検討しながら、和解の通しどころを探すので、それなりに経験が必要な分野かと思います。
銀座のママは労働者か
「売上の60%が報酬で、出退勤が自由な仕事なら労働者でない」と判示したようです。

出退勤の自由と、給料が売り上げのパーセンテージなところがポイントですね。
そのような場合は業務委託になりやすいです。
懲戒処分をすると訴えられそうで怖いのですが。
セクハラを理由に懲戒処分を下されたことについて、妥当との判決があります。

「セクハラ発言は職場環境を害し、従業員の意欲を低下させる。懲戒処分が社会通念に反するとはいえない」ということで,事前の戒告なく「30日間と10日間の出勤停止」「降格」が妥当とされました。

労働者側の訴訟を恐れて、企業も厳しい措置を取りにくい時がありますが、適切な懲戒ならば問題ありません。
労働契約書って何を書けばよいでしょうか。
一般的に使っている書式(A4一枚の表になっているもので皆さんも見たことはあると思います)があるので、それを使えば、問題なく雇用契約は結べます。
しかし、これだけではなんですので、以下条文根拠をあげます。

労働基準法 第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(略)を超える期間について締結してはならない。






この契約書ですが、記載することが法定されています。


労働基準法 第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。


そして、労働基準法施行規則 5条で、その細目が定められています。


「記載が必要なもの」
一 労働契約の期間に関する事項
一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働
者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算
及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)


「あれば記載が必要なもの(無ければ不要)」
四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並び
に退職手当の支払の時期に関する事項
五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃
金額に関する事項
六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
七 安全及び衛生に関する事項
八 職業訓練に関する事項
九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
十 表彰及び制裁に関する事項
十一 休職に関する事項


なお、当然ですが、各規定は法律の範囲内でなければなりません(最低賃金法など)。






労働契約のあるべき内容については労働契約法に定めがあります。


その基本原則としては、以下の内容です。


労働契約法 第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。


出向(14条)や解雇(16条)などについても、この労働契約法に定めがあります。


なお、一度定まった労働契約も不変のものでは無く、労使間の個別の合意で変更は可能です。


また、個別の合意が無くても、以下の通り、一定の要件下では就業規則の変更で、労働条件を変更できます。


労働契約法 第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

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