裁判のすすめ
相談者の多くの方は、裁判より話し合いでの解決を望まれることが多いです。
裁判所に行かずに交渉で何とかしたいとよくいわれます。
特に、相続のような家族間のトラブルや、知人間のお金の貸し借りなどですと、出来る限り大事(おおごと)にしたくないとおっしゃる方が多いです。
当事者の立場に立てば、この希望はよく理解できますし、私もできる限り配慮はします。
裁判の方がよい事案
しかし、そういう場合でも一定の場合は裁判の方をお勧めします。
それは、
と言うようなときです。
交渉拒否
理由が重複するところもありますが、順に見ていきますと
まず、交渉を拒否している相手、これは話が出来ないのですから、裁判しかないのはお分かりでしょう。
放置すれば、証拠は散逸し、財産も失われ引っ越しする可能性や年齢によっては亡くなる可能性もあります。
早急に訴訟で対応する必要があります。
独自の正義感を振りかざす相手
自分が絶対に正しいと信じきっているので、交渉が成立する見込みはありません。
譲歩もしません。
確かに道徳や地域性、年齢などによっては、慣習的に見れば、相手の言うことが100パーセントおかしいというわけでもない場合もあります。
しかし、法的には認められないものですし、そういう正義感で他方の権利を妨害してもよいわけではありません。
ですので、法的に淡々と対処した方がよいです。
粘ることで譲歩を求める人
次に粘ることで譲歩を引き出そうという相手に対するときです。
こういう相手では、譲歩するまで、いつまでも話がつかないです。
また、一つ譲歩したら二つ目の譲歩を求められるだけで、話すだけ無駄なことが多いです。
DV・暴力的な相手
DVの相手の場合、話すこと自体が危険です。
裁判所での対応の方が平和に自分の意見をぶつけれます。
危険を冒すより、法的に適切な解決を、裁判所に求める方がよいでしょう。
ちなみに、私は上記の三例と比較して、この暴力的な相手への対応の場合は訴訟を相当に強く勧めます。
この相手との交渉は、交渉がうまくいかないというだけでなく、依頼者や相談者の身に危険が直接に迫ることがあるからです。
小括
以上のような裁判の方が、かえって早く、適切に解決できます。
裁判と言うことで、イメージ的に、大変な手続きというものがあるかもしれませんが、大変な部分は弁護士が動きます。
紛争解決のために、事案によっては早めの裁判を選択肢に入れておきましょう。
裁判にした方がよい理由
上記と重なる部分もありますが、裁判にした方がよい理由を記載します。
裁判は安全です
普通に交渉すれば、怒鳴り散らしたり、帰らせないような態度をとる相手(いわゆるDVやモラハラの関係ですね)でも、裁判所ではそのようなことはできません。
万が一すれば、裁判で不利になるだけです。
裁判所には警備員もいますし。
相場の数字で話ができます
交渉ですと、しばしば、相場をはるかに超えた金額でごり押ししようとする人がいますが、裁判ではそれはできません。
そのようなことをしても、結局、相場の判決が出ます。
相手と顔を合さず、弁護士に任せればよい
弁護士を雇っていればですが、時折、弁護士と打ち合わせして任せておけばよいという心理的な面での安定が図れるというメリットもあります。
交渉相手と話すこと自体が苦痛というような場合は、よくあります。
そしてそういう場合、これも大きなメリットです。
小括
裁判は無いに越したことは無いでしょう。
しかし、世の中いろいろと、トラブルはありますし、それを解決するための有用な手段です。
本当に困った際は、裁判に思い切って進める方が、よいこともあります。