2015.01.15

弁護士の職務と責務

弁護士の職務と責務

弁護士の職務と責務

弁護士は国に認められて、法律を持って紛争に介入する仕事です。

弁護士の業務は必ずしも紛争解決だけではないですが、一般には、一番弁護士の仕事のイメージが強いものだと思います。

弁護士の仕事については、弁護士法上一定の権限と責任が与えられています。

 

権限

弁護士には、国家が紛争に介入するお墨付きを与えられています。

弁護士法 第72条で「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件」「その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」とされています。
 
これに違反すれば罰則もあります。
 
弁護士法 第77条で「次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。 三 第72条の規定に違反した者」

 

弁護士でなければ、報酬をもらって、紛争とか事件で、相談を受けたり解決のために動いたり、書面を作成したりできません。

(認定司法書士は簡裁事案については例外があります)

このような権限も大切ですが、責務はもっと大切だと私は考えております。

 

責務

「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とすること」(弁護士法1条)

「誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力すること」(弁護士法1条)

「常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努めること」(弁護士法2条)

と言う姿勢が弁護士には必要です。

 

実質的に弁護士と言える姿勢をもっている弁護士ならば、これらを守ってその中で依頼者を守ろうと活動します。

反社会的勢力は、いろいろ理由は付けても、結局、自分の利益を確保するために法的に成立しないことやこじつけを押し通そうとします。

社会の秩序より自己の利益を重視して、大声をあげたり、暴力や嫌がらせでトラブル解決を図ろうと活動します。

 

私は、裁判で敵対する相手にも、最低限の礼儀を持って対応します。

本人訴訟などで、時折、無礼な書面を送ってくる相手方もいますが、あくまで冷静に法律論に乗っ取って反論します。

 

なぜならば、私は、弁護士として責務を遂行することにプライドをもっているからです。

目的を達成するのに、何でもやるのでは、実質的には、反社会的勢力と変わりません。

あくまで、形式だけでなく、実質的にも、弁護士と言われる活動をするのが、私の仕事です。

 

その他の制限

弁護士は紛争に介入する権限を特に与えられていますので、それに応じた責務があることは記載しました。

そして、その責務は弁護士職務基本規定で具体化されています。

 

法律相談での対応や広報

弁護士職務基本規定(依頼の勧誘等)
第十条 弁護士は、不当な目的のため、又は品位を損なう方法により、事件の依頼を勧誘し、又は事件を誘発してはならない。
 
(受任の際の説明等)
第二十九条 2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。

私も法律相談で、慎重な回答をすることは多いです。

しかし、これは、決して裁判をお断りしているわけではありません。

 

訴訟をするつもりで来られた方は、私が慎重な対応を口にすると、遠回しに依頼を断られていると感じる方もいるようですが、私は弁護士ですので、断るときは曖昧な言い方はしません。

断る時は、はっきりとお断りしますので、そうでない場合は依頼があれば対応します。

また、訴訟に対応する自信がないわけでもありません。

訴訟を強く勧めたりしないのは、やはりメリットとデメリットを十分検討したうえで、ご自身で慎重に判断していただきたいからです。

(上記の弁護士職務基本規定も背後にはそういう考えがあるのだと思います)。

重大な事項はじっくり判断していただくというのは、あさがお法律事務所のモットーです。

なお、訴訟の依頼時は、見積もりの金額をお伝えして、できる限り1日以上の時間を置くように心掛けております。

 

違法品位を失う行為の禁止

(違法行為の助長)
第十四条 弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。
(品位を損なう事業への参加)
第十五条 弁護士は、公序良俗に反する事業その他品位を損なう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれらの事業に 自己の名義を利用させてはならない。

以上のように、弁護士は品位を守って、適法な活動をしなければなりません。

法律を適用して、紛争を解決するという職務を負っている以上、これは当然でしょう。

しばしば、法の抜け道はないのかというような聞き方をされる方もいますが、そのようなものは無いですし、あっても検討するようなことはあり得ません。

 

依頼者の味方

(正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように 努める。
(依頼者の意思の尊重)
第二十二条 弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うも のとする。

 

弁護士は依頼者の味方です。

もちろん法を守っての範囲ですが。

時折、対立する相手なのに、「弁護士が言うのであれば間違いないだろう」とお考えの方がいますが、あくまで依頼者の味方で検討しますから、対立相手には不利な対応はあります。

嘘や違法行為はありませんが。

なお、私は相手に、相手が誤診していると気づいたら「私は依頼者の味方ですから、あなたはあなたの味方の弁護士に聞いてくださいね」と伝えるようにはしています。

 

その他

弁護士職務基本規定は、全部で八三条あります。

上記はあくまで一部の抜粋です。

通常は、あまり、なじみのある規定ではないでしょうが、弁護士に依頼されるのであれば、確認しておいた方がよいかもしれません。

 

 

まとめ

弁護士は、権限があるうえに、それが紛争に介入するというものである分、厳しく責務と制限が置かれております。

時には依頼者側としては、「お金を払って依頼しているのに、思い通りに動いてくれないのは、納得いかない」といわれる方もいます。

しかし、結局は広い目で見れば、適法に品位を持って、行動することは依頼者のためにもなることです。

ご了承ください。

 

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