顧問契約のメリットと限界
初めに
あさがお法律事務所における顧問契約にのメリットと限界、を記載していきます。
よくあるサービスはもちろん、明文にはないが実はメリットとか、当事務所で特に評判が良いサービスなども記載していきます。
事務所次第ですが、無料相談とか、訴訟時の割引とか。
顧問契約に付随するサービス
当事務所の顧問契約時のサービスは、以下の通りです。
(夜間や祝日などの電話転送時、弁護士の移動中、食事中などで、即時の対応ができないことが稀にあります)
依頼がある時は不思議と重なりますが、顧問先からの依頼に対応できるように、常時、裁判で2―3件程度は余力を残して依頼を受けております。
FC加盟店からの相談にも対応しております。福利厚生、FCサービスとして、お使いください
この辺りはホームページにも記載してあるものです。
特に好評のサービス
その中で、契約者の方に、特に好評をいただいているサービスであまり他の事務所でやっていないサービスは、
携帯電話番号をお伝えして、弁護士と直通で連絡を取れる状態にしていること
私もこれほど好評を得られると思っていなかったのですが、休日に店でトラブルがあった、さっき交通事故の連絡があったなどという時に、すぐ電話で切るのは助かると多くの顧問先からおっしゃっていただいております。
もちろん、本格的な対応には調査なども必要なことがあります。
しかし
「今、目の前にあるトラブルで、今日中にとりあえず、どう対応するかを言ってもらえるのは助かる」
「取引先との契約日に、ちょっと気になって、一点だけ、今、聞きたいときに助かる」
ということで、予測外に好評いただいております。
よく考えれば、顧問契約の一番のメリットは、いつでも気軽に相談できるというところに集約されますので、このサービスが評価していただけているのは、当然といえば当然かもしれませんね。
顧問の費用
一般には弁護士の顧問料は、高いところもあれば安めのところもあります。
相場がなかなか分かりにくいものですが、弁護士会の全国の弁護士顧問料のアンケート(日弁連アンケートにリンク)が参考になると思います。
それによれば、費用は3-5万円の間が80パーセントを占めます。
平均は毎月4万2千円のようです(2008年のもので古い記録ですが)。
事務所によっては10万円以上の顧問料を取る事務所もありますが、これは、通常、何らかのサービス(内容証明が無料とか、月一回の出張サービスがあるとか)がついてくることが多いようです。
顧問料月1万円の理由
当事務所が1万円を料金にしているのは、あさがお法律事務所(西宮)は、関西一円の中小企業、個人事業を顧問の対象にしており、それらの中小企業に合わせた対応をしているからです。
同時に、
費用とサービスのバランスをとった結果のサービス内容です。
中小企業や個人事業では、初めから固定で内容証明作成代金などを含め高い顧問料にするよりも、相談対応と軽微な対応を中心としたサービスにしておき、特に必要な場合に内容証明や交渉、訴訟などの契約をオプション的に選択していただく方が、適切と考えたからです。
明文にはないが実際にはあるメリット
明文上、目に見えるサービスではないが、顧問契約があれば、実際にはあるメリットというものがあります。
会社のシステムや事情を十分に理解しての対応が可能です。
各社それぞれ特徴がありますし、個別に見れば、その内情はかなり変わります。
この点、顧問先ですと、会社の状況や事情を、そのトラブルが起きる前に、事前に聞いておりますので、十分に理解しての対応が可能です。
一般のご依頼ですと、正直に申しまして、8年前のご依頼の方などは、当職も覚えていないことがあります(一応記録などはできる限り置いてありますが)。
しかし、顧問先の会社については、8年前の契約の会社で、この数年は特に相談はないという会社でも明確に覚えております。
これは、他の事務業務は事務員に任せても、請求書については、毎月、私自身が書くようにしておりますので、そのたびに記憶を喚起しているからです。
また、時間がある時など、顧問先のホームページ、社員ブログ、頂戴した社内報を読んだりしていますし。
過去のいきさつを考慮しての対応が可能です。
次に、前のトラブルを思い出しての対応が可能です。
長く会社を経営していると、裁判や法的トラブルになることは、どうしても出てきます。
その中で、顧問先であれば、前のトラブルの事情などを思い出しながら、それに配慮したアドバイスが可能です。
前のトラブルを前提に変化したこととか、同じ取引相手で2回目のトラブルなどということはありますから。
トラブル終了後の対策を含めての対応も可能です。
前記のメリットの裏返しの面もありますが、トラブル終了後に対処のお話も可能です。
例えば労働問題で裁判になった後、その訴訟で追及された部分に配慮して、就業規則の作り直しとか社内資料の保存する範囲の修正などのアドバイスが可能です。
これはもちろん、スポットでの契約後依頼でも可能ですが、やはり裁判が終わると、「喉元過ぎると熱さ忘れる」と言った状態になることが多いようです。
取引相手との契約書を作成し、就業規則や内規などもしっかり定めていかなければなりませんといった、予防法務的な活動もここに含まれるかと思います。
迅速な処理が可能です。
これは最初の点、2番目の点ともつながりますが、顧問先であれば、ある程度会社の事情やこれまでの紛争もわかっています。
そこで、例えば緊急の電話があって、「今、紛争相手が職場に来て「・・・」と言われている」と相談があった場合、即座にその場の対応をアドバイスできます。
これが、顧問先でないと、法律相談のご予約をいただいて、「貴社はどういう会社ですか」、「相手とはどういうトラブルがいつ頃から起きてますか」などと順次に事情を確認し、かつ一定の内容については、「念のために資料を確認させてください」などというやり取りが必要になります。
そして契約を交わして・・・。
これでは、目の前にあるトラブルに即座のアドバイスができません。
企業の実務にも配慮します。
私は、リーブ21やダスキンで企業法務にいました。
裁判だけでない実際の会社の中での法務と言うものがわかります。
大企業ならば、通常法務部が対応し、弁護士が対応しない業務も中小企業では社長と弁護士が対応するしかありません。
そして、実際に、法務部がやっている実務仕事を弁護士が代わりに対応します。
これは、もともと企業法務にいた際に、「会社の経営判断は会社の役員の権限事項なので、その判断に必要な法律情報やリスクは十分伝えるべきだが、会社の運営判断を法務部が左右することがあってはならない」と教育されていたことの名残です。
法務部は、言い方や表現方法・資料の組み方で、その資料を見た経営者の判断が左右できることもあります。
そういうことの無いように、判断に必要な情報を適切に盛り込みながら、経営判断を害さないように情報伝達することは、それなりに経験と専門性が必要で難しいことです。
私の企業法務での経験からくる、私どもの事務所の特徴の一つかと思います。
実際には、弁護士が外部取締役に選任されたり、融資対応の依頼を受けて事業計画を作るなど、会社の経営などに関与する業務もありますが、基本的にそういう場合でも期待されるのはリスクヘッジや現状維持、正確な状況の把握と伝達です。
リスクを負って一か八かの会社の発展を目指すことはあまり期待されません。
そういう弁護士が持つ強み(リスクヘッジや会社の安定に強い)と弱み(ハイリスクハイリターンの経営に弱い)をよく理解し、そのうえで顧問先へのアドバイス方法が特定の方針に傾かないように、特定の経営方針を誘導することの無いように、注意しながら対応できるのは、当事務所の顧問契約の強みであると考えております。
もちろん、判断の前提として情報を伝えたり、いろんな経営方針についていろんな相談を受けたり、いろんな角度からのアドバイスをすることはあります。
言いにくい点の指摘
相談の中で、ときおり、実は皆さん、回答がわかっているのではないかと思える質問もあります。
例えば、端的に、効率の悪い部署や、無駄に高額な仕入れ先を切ったほうがよい場合など。
提案の前から、会社内の皆がわかっているのではないかと思われるときもあります。
係長や課長は、個人的に付き合いもあり長く取引している相手の顔を見ると、内心はそう思っても、上司に、なかなかそういう提案ができません。
部長や役員は、部下から提案もないし、内心は気になっても、一応は廻っている現場への介入には慎重になります。
会社というものは人間関係で結びついている組織ですから、お互い心には思いながらも動きがとりにくい場合があります。
私が提案すると、「そうは思ってたんだけど・・・」という話になることがあります。
会社の運営において、正論だが皆が言いにくいところを指摘するのも、弁護士の仕事の一つかと思っております。
顧問契約の限界
内部紛争に介入できないこと
顧問弁護士は、会社の味方となって活動します。
会社のために全力で行動します。
しかし、ここで注意すべきは、会社の味方であるからこそ、その活動に限界があることです。
味方になるのは会社であって、個々の取締役や会社の機関、大株主ではありません。
通常、対外的な紛争の場合は、取締役など会社の機関を守ることは、同時に会社を守ることに繋がりますので、特に問題になりません。
しかし、複数の取締役同士のやりとりへの介入となると話は別です。
会社全体の味方であることは、その会社の内部でのやり取りへ介入が出来ないなことがあります。
適法な業務を行う(目指している)会社であること
これは当事務所の制限です。
あさがお法律事務所では、顧問契約に会社の規模は問いませんし、企業の種類も問いません(もっとも、特定分野については、専門外で回答に時間がかかることがあります)。
しかし、適法な業務を行う会社であることが条件です。
もちろん、営利企業ですので、広告方法などでグレーゾーンに踏み込んだり、労働基準法に反してしまったりすることもあるでしょう。特殊な分野での特定の規定にうっかり反するということはあるでしょう。それだけで顧問契約をしないわけではありません。
そういうことを相談してもらい、改善するために顧問契約を結んでいるのですし。
また、その人の立場によって違法とか違法でないとか評価が分かれることもあるところ、出来る限り顧問企業の味方に立つのが私の仕事ですので。
しかし、ありうる限度を超えて、意図的に特に悪質な違法行為をしている時や、違法行為をしながら、それを隠ぺいしようと弁護士にも嘘をついたような時は別です。
というのも、結局、一社違法な会社があり
「あそこの弁護士の顧問先は違法な会社が含まれている」
「違法主張も平気でする」
と言うことになれば、その他の顧問先会社にも、ご迷惑をかける危険があるからです。
「あさがお事務所の顧問先企業ならば、適法優良企業に違いない」
と思ってもらえるようにありたいという姿勢で顧問先と契約し、活動しております。
よろしくお願いします。