2016.11.21

雑記3

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雑記3

なんとなくの日常の雑感、弁護士の考えを記載します。

法的なことだけではないですが、弁護士選びの参考にしていただければ。

なお過去の雑記は以下の場所にあります。

雑記

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雑記6

 

買い物

先日、絨毯を買いに行きました。

展示品を見て、ちょうど良い商品だったので、新品の取り寄せをお願いしたら、明らかに取り寄せ可能な商品を「取り寄せできません。この展示品を購入してください」と言われました。

ごく一般的な品で、メーカーサイトも確認したので、取り寄せできないとは考えにくいものです。

一緒に買い物に行った妻と思わず顔を見合わせて、結局、何も買わずに帰宅しました。

 

その店にはその店の営業方針があるので、お客への対応の仕方は法律上は、自由です。

ただ、夫婦で帰りながら「取り寄せれますけど、手間も日数かかるんで、できたら展示品でお願いしたい」とか、正直に誠実にお話いただいていたら「これでいいかって購入したのにね」と話しました。

今後、その店のことを周囲の人に聞かれたら、あえて悪口は言いませんが、実際に経験した事実は伝えるでしょう。

帰りながら、その話題で話していたので、通りすがりの人にも聞こえた人もいたかもしれません。

これから絨毯やカーペットを購入するときに、その店はずっと購入先の候補に入れないと思います。

 

誠実に正直に対応しないと、結局は、その場限りの損害ではすまないこともあります。というか、それがほとんどです。

逆に正直に対応して、好感を持っていただけたら、その時に契約にならなくても、必ず意味はあるかと思います。

計算して、誠実にやるわけではないですが、ある店の営業スタイルを見て、誠実な対応の大切さを再確認しました。

 

 

請負契約と仕事のレベル

請負契約などにおいて、契約だけでは対応できない、問題にぶつかることがあります。

請負契約の主要な点は、主に請け負う仕事の概要、その費用、納品時期です。

ですので、そのあたりを記載して契約書を作成します。

 

しかし、実際には、現実に請負で問題になる事が多いのは、仕事の程度、完成レベルです。

そして、これは契約で定めるのが結構難しいです。

許認可事業などでしたら許認可が出る程度の内容といった基準はおけますし、ある程度は、設計図や施工の仕様書などで縛れるでしょうが、最終的な職人技のようなものは契約書で決めることは難しいです。

むしろ、言葉で表しにくい繊細で総合的な技術こそが職人技でもあるので

 

先日、ある会社の方に

 

「職人さんへの報酬を減らすことは可能だし、納品日を厳密に指定することも可能だが、完成品の微妙なところで差が出るから、こういう仕事の契約は厳しくすればよいというものではない」

と指摘されました。

 

法律や契約書で縛ることができる範囲には、限界があります。

場合によっては、縛ったがゆえにかえって、目的に反する結論を招くこともあります。

法律家としては、現実の社会と照らしての法律や契約の限界を知っておくことは大切だと思います。

 

 

弁護士の常識と社会の常識のずれ

弁護士としての考え方というものがあります。

それとは別に、一般社会常識とか、普通のサラリーマンや他の業界の人なら、こう考えるというものがあります。

両者は、もちろん、一致する場面も多いのですが、やはりずれる場面もあります。

 

私は、脱サラでの弁護士でしたので、弁護士になったばかりの時は、普通のサラリーマンに近い考えのことが多かったと思います。

しかし、弁護士経験を積むにつれて、次第にごく普通のサラリーマンや自営業者の方などの発想から、離れて行っている面がある気がします。

弁護士的な業界の考え方に染まっていっている気がします。

 

弁護士ですので弁護士的な発想(慎重さや堅実さなど)が、仕事の上でよい面はもちろんあります。

ただ、エリート的な発想や金銭感覚などについては避けたほうが良い面もあると考えております。

 

弁護士をやっていて、毎日「先生」と呼ばれていると、どうしても「先生の意識」が強まります。

人に、相談を受けた時、「先生」と呼ばれる立場として間違いのない情報を伝えるように、勉強するという意味では、この「先生の意識」は強まってもよいと思います。

しかし、相手より上の立場から物が言えるという意味での「先生の意識」は、強まらないように気を付けなくてはなりません。

 

最近、自分の些細な言動や態度をふと振り返った時、サラリーマンの時、「こんな態度とっていたかな?」と考えるときがあります。

弁護士としての経験が深まるにつれて、弁護士として、その弁護士らしい姿勢を突き詰めたほうがよい面と、サラリーマンのころの常識を忘れてはいけない面と、自分なりに良く考えなければならないと、自戒することが多いです。

 

 

弁護士の仕事はAIに切り替わるか

裁判や弁護士業務はコンピューターが出来るようになるという考え方があります。

ずっと先、未来にはありうる話であると思います。

 

そうではなく、近い将来に、裁判や弁護士業務が、機械に置き換わるという考えをお持ちの人もいます。

この考えをする人は、「こういう不倫ならば慰謝料いくらくらい」とか、「交通事故でこういう事案なら過失はいくらくらい」という様な判断を見て、機械で代わりに決めれるのではないかと考えるのでしょう。

もちろん、こういう、「ある事案では、これくらいが相場になる」との知識を持つことは必要です。

このような知識を溜めておき、検索する方法として、コンピューターは有用でしょう。

しかし、弁護士の仕事はそこで終わりではありません。

むしろ、実は弁護士の仕事はそこから先が仕事です。

 

 

定型で・・・だとしても、この事案を個別具体的に見た時、本当にそれでいいのか

過去の例で・・・だとしても、5年前の例が現代の事例の解決に当てはまるのか

記載されている条文は・・・だとしても、他の条文や立法された理由、新しい法律や消滅した法律などの関係で、その条文のままの判断でよいのか

そのほかにも、様々な角度や情報事情から、法律論を組み合わせて妥当な結論を招くように裁判は動きます。

全く同じ人間が、同じ時期に、同じ行為をした前例などというものはありえませんので。

 

弁護士は、様々な事情から少しでも、依頼者に有利になるように検討します。

そこでの検討は、その事件の特殊性に加え、社会常識や時代背景なども加えたものになりますので、なかなか機械に置き換わることは無いであろうと信じて仕事をしております。

 

 

ネットからの依頼は筋が悪い?

一般の人には馴染みがないかもしれませんが、弁護士業界では、数年前まで「インターネットで調べて問い合わせてくる依頼者は質が悪い」という話がありました。

別に統計的な記録があるわけではないですが、時折、こういう話を聞きますし、先日も弁護士専門の広告代理店の人が、そういう話をしていました。

 

この「質が悪い」という言葉が何を指すかわかりませんが、どうも、

・その依頼者にお金がなかったり、

・依頼内容が少額だったり、

・主張に無理があったり、

という意味のようです。

 

確かに大金持ちやそれなりの規模の会社だと弁護士とのつながりを元から持っていることも多いので、ネットで探さないということはあるでしょう。

そういう面はあるとおもいます。

「で、それがどうしたんですか?」

と私は思います。

 

依頼者にお金がなかっても、可能な範囲では対応すればいいじゃないですか

訴訟にまでしにくい事件なら、事情を説明して、その人自身ができる範囲のアドバイスをしてあげればいいじゃないですか

主張に無理があるならば、どこに無理があるのか、なぜ法律上ダメなのか、説明してあげればよいではないですか。それを説明するのも仕事なんですから

 

 

私はそういう考えで、弁護士やっています。

正直に言えば、「大金で楽な仕事があればいいな」と思うこともないとは言いません。

が、「大変でもやりがいがある仕事」「利益は少なくても依頼者と共に協力し合って対応する仕事」に打ち込むのも、そんなに悪いものではないです。

やりがいは同じようにあります。

あ、ちなみにここまで書いてきてなんですが、別にネットからの依頼者でも大きな事件も大金持ちの事件もありますよ。

これまで弁護士と付き合いがなかったのは、大きなトラブル知らずでやってきたからということもありますので。

ネットだから悪いというの偏見です。

 

あなたは一切悪くない

時折、詐欺事件の相談があります。

当事務所は刑事事件を取り扱っていませんが、被害者として民事上請求する場合は対応します。

 

この詐欺の相談ですが、相談に来られて、しばしば相談者の方が口にされるのが

 

「私も悪いんですが・・・」

 

の一言です。

 

いいえ。貴方は一切悪くありません。

貴方がどれほど、お人よしだろうが、人を信用しがちだろうが、悪いのは騙した相手です。

もっとも、あなたの人の好さを十分わかっている、あなたの周囲の友人や家族は事件を聞くと、自分のことのように悔しく思い、また同時に、これからも騙されないようにという思いもあって、貴方を強く責めることがあるのでしょう。

2度とだまされないように注意すること、そういう友人や家族がいることに感謝することは必要ですが、自分が悪いかのように責める必要は一切ないと思います。

あくまで悪いのは、加害者ですから。

 

 

裁判所で見た格好いい弁護士

この前、裁判所で、テレビに出てそうな「弁護士!」って感じの弁護士を続けて見ました。

見るからに貫禄があって、声が低いけどよく通る声で、年代は私と同じくらいでしょうか。

品のいいスーツ着て、書類のいっぱい入った高そうなカバンを持ってました。

法廷を出たら、高級車に乗って颯爽と去っていきました。

「あの雰囲気だと、黙ってても依頼者が来るだろうな」とうらやましく思いました(その人が努力してないという意味ではありません、知らない人ですし)。

私は、今更、見た目も変えようがないし、身長はもう伸びないし、声質は変わらないし、高いスーツ屋さんは入るだけで委縮するし、あんな感じには、どうやってもならないです。

だから、依頼者に信頼してもらおうと思ったら、人一倍勉強して、説得力のある仕事をするしかありません。

仕事の結果を見てもらえるように努力するしかありません。

あと、高級車に乗ってないので、自転車を必死に漕ぐしかありません(笑)。

幸いにも、そういうところを見ていただいて、私にも依頼者が来ていただけております。

本当にありがたく思っております。

あさがお法律事務所(西宮市)

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