弁護士に依頼すると時間がかかる
弁護士に依頼すると時間がかかります。
これは業務自体の慎重さや安定にもつながるところで、弁護士としても急がないわけではないのですが、どうしようもなく時間がかかってしまうという面があります。
裁判所の業務
裁判所に主張は、原告と被告が交互にするのが普通です。
そして、一回ごとに、原告、次回は被告と主張することになります。
裁判は、ほかの裁判の調整や準備期間(証拠収集、裏付の確認)などの関係で、たいてい月に1回です。
そうすると原告が言い分を3回言う、被告がそれに3回反論を返す。
このやりとりだけで、6か月かかります。
前書きにも書きましたように、この期間が慎重な裁判手続きを保証する面も大きいですし、裁判所の場所的な限界やほかの事件の都合もありますから、この短縮には限度があります。
このため裁判は時間がかかります。
再三の確認
弁護士は、その職務上の責任がありますので、ある事実についても念を押して確認します。
たとえば、相続などで戸籍や登記簿を用意してお持ちしてくださる方がいます。
これは大変助かります。しかし、古いものとかコピーの場合は、通常弁護士は取り直すでしょう。
これはそもそも裁判所に提出する書面には期限があるという一面もあると同時に、弁護士としても一応念のために再確認しておきたいという面があります。
直近の原本をいただいた場合はさすがにそこまでしなくても、一定期間がたてば事情は変わることがありますので。
そして、このように証拠も再確認、再チェックすることがありますから、それに応じて時間がかかることはあります。
伝言
交渉時
裁判所や相手とのやり取りは、伝言のようなやり取りになる面があります
例えば、一回の交渉のやり取りでも
こちら側:依頼者から希望を聞き→事実確認→書面作成→相手の弁護士に伝える
相手側:→相手の弁護士が相手と打ち合わせ→相手弁護士の事実確認→相手弁護士の書面作成
こちら側:→相手の弁護士から連絡→依頼者に報告
と何回も段階を踏むことになります。
そしてこの事実確認の期間にも、証拠を取得したり現地を確認したり、利息の計算をやり直したりという時間がかかります。
さらに、依頼者の方と私どもの打ち合わせや報告、相手の弁護士と相手の打ち合わせも、日程などが合わなければなりませんので時間が、かかることもあります。
これを繰り返すので、どうしても時間がかかります。
こちらが打ち合わせをして最初の相手からの回答の報告まで、1週間から1か月くらいはかかります。
各伝言ごとに、間違いがないようにチェックするので猶更です。
弁護士を雇うメリットは、相手と直接対応しないこと、事案に応じた証拠を適切に確認すること、専門的な視点から法律論も調査しつつ主張することにあります。
そうである以上、前期の段階的なやり取りを無視するのは現実的ではありません。
裁判ではより慎重な伝言
裁判ですと訴状の提出まで、こちら側だけでも
依頼者から希望を聞き→事実確認→書面作成→依頼者に書面確認→再検討や証拠の再収集→裁判所に提出→裁判所からの指示があれば、一定の修正→裁判日時の打ち合わせ→裁判
となります。
このような手順を踏むため、裁判だと、交渉よりさらに時間がかかります。
私どもにしても、(おそらく相手方にしても、裁判所にしても)早急な事件解決を心がけてはいるのですが、どうしても時間がかかります。
法律相談の時にも、見通しの時間をご説明をするのですが、やはり皆さん長いことには驚かれます。
しかし、慎重で確実な手続のためですので、ご了承ください。