契約書の作成のメリットデメリット
1 初めに
世の中には、契約書の無い取引がたくさんあります。
日用品の買い物のような日常的な取引で、いちいち契約書に押印してれないのは当然です。
しかし、ある程度高額の取引であったり、一方が後払いの契約の場合、なるべく契約書を出したほうが良いのではないかと当職は考えます。
メリットデメリットについてご説明します。
2 契約書作成のデメリット
細かい内容まで盛り込めば作成や見直しに本業以外の時間がかかります。
だからと言って記載が浅ければ作らないほうがましということもあるでしょう。
迅速性を要求される業界、現場の職人の専門性が高い業界では、このような理由から契約書がないことも多いです。
3 契約書作成のメリット
現場担当者間では、嫌がられることも多いでしょう。
しかし、取引相手の会社全体で見ると、そうともいえません。
現場から管理部門、そして役員へと話が上がるにつれて、明確でしっかりした契約書があればあるほど、信用性が増します。
普通、取引に当たっては、目の前の担当者に対するプレゼンテーションを検討します。
ところが、最終決定権者(代表取締役など)は、そのプレゼンテーション相手では無いこともよくあります。
そしてそういう場合、最終決定権者は、担当者の報告に加えて、書面を基準に判断をすることが多いです。
そういう場面で他の資料と共にあげられるしっかりとした契約書は、それだけで御社の価値を高めます。
確かに営業担当者間では、書面より人間関係が大事なことも多いです。
明確で、しっかりした契約書があることも、信用度が高まる重要な一面です。
契約書の無い業界の皆さん、思い切って契約書を作ってみると、かえって仕事が上手くいくかもしれません。
もちろん、相当の内容のものでないと逆効果ですが。
4 私の経験
私的な事情で工事をお願いすることがありました。
契約はどういう形でするかという話になったときに、先方の工事業者の方から契約書を作成して持ってこられました。
工事業者の方など、契約書を用意していることは少ないので、聞きましたら、
「発注書と請書での工事だと、どうしても一般的な記載になるので、業務の内容によっては、工事範囲や内容が曖昧になりトラブルになることがある」
「それでトラブルを防ぐのに、請書に細かく注記を入れざるを得ないことがある。
そうすると、その注記に発注者が、また意見を言いとなり、混乱するうえ、かえって時間がかかることがある
それならきっちりと話を詰めた契約を作っておく方が良い」
とのことでした。
なお、下請法、建築業法、その他法律で契約書の作成がそもそも法律上の義務になっていることも多いのでご注意ください。
5 まとめ(契約書作成の薦め)
私どものところに来るのは、実際にトラブルになってからが多いですが、このように事前の慎重な対処により、トラブルが防がれ、会社の信用を高めることはあります。
弁護士になる前、企業法務時代には、何度か経験しました。
また、実際に弁護士に相談に来られた時点で、「契約書があれば・・・」と思うことも多いです。
いざという時のための予防法務としても、契約書作成は考えておかれる方が良いでしょう。
あさがお法律事務所でも、大きな業務の前には、トラブルになる前に弁護士に契約書などの内容についての意見を聞くなど予防法務として、弁護士を利用していただくことも可能です