2014.07.31

法律相談時

法律相談時

法律相談時の姿勢

詳細な聞き取り

相談時の方は心労を負ってきている以上、相談において、気の悪いことを詳細に聞かれるのは嫌かと思います。

しかし、弁護士として、正確な判断や訴訟を有利に進めるには、相談者からして聞かれたくない部分を聞かざるを得ないことはあります。

特に重要なのは不利な部分ですので、その相談者の主張のうち、不利な部分を根掘り葉掘り聞くことはよくあります。

 

このような弁護士の態度は、貴方を疑っているわけでもなければ、貴方の気を悪くしたいことを告げたいと思っているわけでもありません。

私はもちろん、すべての弁護士は、相談者や依頼者を全面的に信頼して訴訟対応します。

ただ、少しでも不利な可能性があれば、先に告げておくのが弁護士の仕事ですし、相手からの指摘前にこちらが指摘して消しておくのが弁護士の仕事であると思っております。

 

かつて、私が弁護士事務所での研修に行っていた先の弁護士は法律相談のたびに、相手に詳細な点を聞くと同時に

「貴方を疑ったり責めているわけでは無いのですよ。裁判する以上、少しでも不自然な点を聞いておくことで、結果的に有利な展開ができます。ここで私が聞かないと、相手が責め立ててきますから、先に防いでおきたいのです」

と相談者の方に話しておられました。

 

細かい部分や不利な部分を、ことさらに聞くのは、貴方を責め立てたいわけではありません。

「普通聞かれたくないであろうな」というところを弁護士が聞くのは、相手がまさしく攻撃してくるであろうところであるからです。

もちろん、同じ聞くにしても、言葉遣いや態度といったことから出来る限りの配慮をするのは当然であると思っております。

 

アドバイスと常識

アドバイスにおいて、社会常識と法律家の常識をわかって、アドバイスすることは大切かと思っております。

どういうことかと言いますと・・・

 

・法律家にとっては、当然に請求できないものであっても、世間的に多くの人が請求出来て当然と思っているものがあります。

そういう時に、法律家として、できないのですから、「出来ない」とのアドバイスは必要です。

が、それだけでなく一般の人から見て請求できるものである場合は、できない理由の詳細な説明や、それで落胆する相談者の方の心情にも配慮しなければならないということです。

逆の時もあります。

・一般の人ができないと思っているが、弁護士なら、当然に請求出来るとわかっていることもあります。

こういうことの説明は簡単です。

相談者の方は、予測外に請求出来る範囲が増えて、弁護士に相談したおかげで請求金額が上がったと喜ぶわけですから。

 

弁護士としては、前者の説明をしなければならない局面というものは、しばしばあります。

法律家としての常識に照らすと、明らかに不可能なものなので、その説明をわかってくれない相談者の方に「どうしてわかってくれないのか」と思うこともあります。

(時には、「他の弁護士ならできるんじゃないですか」とか、「相手の味方のようなことは言わないでください」とまで言う人もいますが、そういうことではありません。

弁護士が自信をもって、「無理」と言っているものは無理ですし、強引にやっても費用がかかるだけでメリットがないから止めているのです。

 

しかし、相談者の方としても、期待に応えてくれると思って相談にきている以上、それに反する答えが納得いかないことがあるのは、弁護士として理解しなければならないと考えるようになりました。

そして、弁護士と相談者の方の常識のずれを十分に理解し、相談者の方の心情に配慮して、説明しなければならないと思っております。

 

アドバイスは根拠をもって

弁護士は社会の紛争に介入するものですし、社会は日々変わるものですから、日々勉強して成長していかなければならないと思います。

また、法律や手続きも日々変わるものですから、その勉強も忘れてはいけません。

 

インターネット関連の裁判など、数年前には手探りでしたし、ハラスメント関係など労働問題なども数年前より格段に話題になるようになっております。

法律も日々変更されていきます。

令和2年には、民法も、相続や時効など、相当に権利関係に絡む部分の改正分が施行されています。

リース契約の実体と約款の典型例など、企業関係の訴訟対応を何件かやっていく中で身についた側面もあります。

そういう意味で、弁護士業には積み重ねや経験が大事な一面はあると思います。

様々な法律、手続きの勉強、判例、社会の変動、そういう経験を積むことは法律家にとって重要です。

 

しかし、そうは言っても「「経験から」とかいう説明をすることはできる限り控えるように」と、自ら戒めております。

法律家とは、言葉を論理的に組み立てて説明する仕事ですが、その弁護士が、説明になると「経験から」とか「一般的に業界では」と言う説明しかできないのでは問題があります。

(限界はありますが。)

このようなことを書くのも、実は最近、私自身、同じセリフを私自身が口にしていることがあったからです。

 

 

例えば、不貞して離婚した場合の慰謝料は200-300万くらいが多いですが、これについては「東京地裁離婚判決に見る離婚給付の額・方法と決定基準」(判タ 788号6頁)に記載がありますし、千葉弁護士会の「慰謝料算定の実務」の調査では、200万円が最多とされています。

このように、経験からある程度分かることでも、根拠や統計を確認し、説明主張していく。

これが弁護士には求められていると、私は考えております。

 

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