浪費やギャンブルの場合の破産
破産できるか
買い物や旅行をしまくっての、借金による破産。
競馬やパチンコ、宝くじなどによるギャンブルの借金の破産。
このような浪費やギャンブルが原因で破産できますか、と聞かれることがしばしばあります。
破産法の定め
この点、破産法には以下のように定められています。
破産法 第252条 第1項
裁判所は,破産者について,次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には,免責許可の決定をする。
④ 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと。
破産申し立てられても、ギャンブルや浪費での借金は免責されないことがあるとの規定です。
注意すべきは、免責されないのは、浪費やギャンブルで「著しく」または「過大な」お金を使っている場合であることです。
単に、月に数百円宝くじを買ってもこれには当たりません(裁判所への報告は必要ですし、破産段階ではやめる必要はありますが)。
ですので、一切許されないわけではありません。
では、多くの借金やお金遣いの割合が、浪費やギャンブルだと、一切破産免責できないのか。
これには、さらに以下の条文があります。
破産法 第252条 第2項
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
この条文の「前項の規定」とは、上記の252条第1項(免責不許可事由)のことです。
つまり免責不許可事由がある場合であっても、「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して」、裁判所は裁量で破産免責ができます。
これを裁量免責と言います。
では、この免責はどれくらいが認められるか
これは実に、申し立ての96.37%が破産免責認められているというデータがあります(2014年日弁連調べ 詳細な記録はこちら)。
他の年度も、だいたい同じくらいでしょう。
結論
上記のデータの通り、借金や浪費がある場合でも、破産ができる場合も多いです。
もっとも、だからと言って軽く考えないでください。
この免責割合の数字は、①相談の弁護士が事情を考慮して、免責の可能性があると見通せる場合として受任し、②本人が深く反省しその姿勢を示し、③弁護士や管財人の指示で、買い物やギャンブル依存症のカウンセリング、心療内科での治療、④収支の管理や確認などを経て認められて人の割合ですから。
甘く考えはいけませんが、本当に苦しければ、迷わず弁護士にご相談ください。
なお、破産が難しいとなった場合、破産以外にも個人再生や任意整理で対応していくことになります。