弁護業務の3K
3Kの仕事とは、危険、汚い、きつい仕事を指す言葉です(最近は、あまりこういう言い方も聞きませんが)
俗に弁護士業務にも3Kといわれるものがあります。
俗に言われるものですから、人によっても、何を3Kにあげるかは変わるでしょうが、「危険、汚い、きりがない」の3Kを私はよく聞きます。
それぞれどういう意味か、ご説明します。
きりがない
弁護士の業務は「きりがない」とよく言われます。
確かにそうです。
ちなみに、弁護士の仕事の6割くらいは書面を書くことです。
時には7割くらいになることもあります。
書いても書いても、いろんな反論は想定できますし、いろんな主張は思い浮かびます。
弁護士と言う仕事は自己責任ですので、書面を書くのをやめることも、自分の判断で出来ます。
しかし、精一杯、書ききらないと仕事を止めることができない性格で無ければ、まず司法試験に受かりません。
弁護士にはいろんな性格の人がいますが、普段の性格はどうあれ、やらなければならないとなった時は、きっちりと物事を精一杯やることを心がけてきた性格はほとんどの弁護士に共通します。
結局、納得いくまで、ひたすら書き直すことになります。
そして相手の弁護士も、それに対して、あれこれ考えて反論してきますので、それへの反論もまた時間がかかります。
弁護士業務は、やってもやっても仕事が終わらない、きりがないという面があります。
危険
普通に皆さん、想像がつく通り、弁護士業務には危険があります。
相手方には暴力的な人もいれば、卑劣な人もおります。
もちろん、ごく普通の方も多くいますが、そうであっても怒りに我を忘れているときもあります。
そのような相手に対応するのですから、危険はあります。
それでも、このような相手方側のリスクはまだ対応できます。
弁護士が受ける様々な危険の中で、もっともリスクが高く、弁護士として、どうしても避けたいのは、依頼者側との関係悪化です。
対立している相手との関係悪化は、こちらも想定していますし、幾重にも防護策をとっております。
しかし、依頼者が信用できない人であった場合、いわば背後から危険が襲ってくることになります。
これは大変リスクが大きいです。
ですので、私は依頼者との信頼関係の確保を第一に考えます。
まずは、依頼者の方とのしっかりした信頼関係を築きあげます。
そして信頼出来ると考えなければ依頼を受けませんし、途中で信頼できなくなれば、辞任します。
そうして、依頼者と共に、協力して相手に対応します。
汚い
弁護士の仕事には汚いところがあります。
と言っても、物理的な汚さではありません。
精神的な汚さ、人間の汚い部分を見ると言う意味です。
ただ、私、幸か不幸か、あまりこれを感じることはありません。
私も他の弁護士と、同じものを見ているとは思うのですが、私は汚いと言うよりは、人間、誰しもある生の部分が見えていると言うような感覚で受け止めております。
こころの奥にある生の感情を受け止めることで、人間の汚い一面を見ると同時に、その人の深い悲しみや憤りも見ることができます。
そこで、私は、悲しみや憤りの方に目が行きます。
そして、それに悩むことで、それはそれで、しんどい思いもします。
まとめ
どんな仕事にもその仕事なりに大変なところはあります。
厳しい面があります。
ただ、それに対処していくからこそ、やりがいもあります。
弁護士業も同じです。