弁護士とCS
CSという言葉があります。
Customer Satisfaction、顧客満足度の略です。
CSの種類
これには2種類あると思います。
です。
弁護士のCSにもこの2種類があると思いますが、弁護士の場合、一方は他の職業よりわかりやすく、他方は他の職業よりわかりにくいという特徴があるかと思います。
弁護士に対する顧客満足度
前者①の満足度、これは分かりやすいです。
弁護士は何らかのトラブルに介入するのですから、単純に裁判に勝てば、これは高いでしょう。
上手く和解したり、トラブルを解決してもそうです。
弁護士の仕事は、他の仕事に比べて、こういう意味での顧客満足度は、はるかにわかりやすいです。
これに対して、後者②の満足度は分かりにくいです。
例えば、スーパーのように毎日、お客さんが来る仕事でしたら、お客の増減やその様子などで、ある程度はわかるでしょう。
しかし、弁護士の業務の場合、顧問先を除いて、定期的に同じ依頼者の方に対応することはないです。
このため、後者について満足頂いているかはわかりにくいです。
しかし、私は、後者の、事務所の対応のよさや相談しやすさといった面での満足も、前者の満足と同じくらい重要であるとは考えております。
弁護士事務所は、悩みをもって相談に来られるのですから、
本来ある相談内容である悩み以外の、緊張や不安を与えるような対応はだめだ
と思うのです。
弁護士事務所に相談に来る時点で、多くの方は、ギリギリの悩みを抱えているのですから、弁護士事務所の相談や対応自体は、精神的な負担なく、利用はしやすい必要があると思われます。
難しいところ
なお、この依頼者の方の満足をえれる対応には難しいところもあります。
先日、ある専門家の人と話している時に、いかにも職人肌の人に、不愛想に「これは無理」ってはっきり言われました。
そのとき、
「いや、無理でも、もう少し言い方を・・・」
と思いました。
それで、「よく考えれば、私も同じような言い方をしていないか」と、自身を顧みることができました。
同時に、専門職として回答するのに、誤解を招くような、無駄に期待させるような回答は混乱を招きますし、トラブルを拡大させることもあります。
そう考えると、明確に「無理なことは無理」と、回答してあげることが、その場はともかく長い目では、その人のためになるのではないかと思うところもあります。
依頼者に満足いただくために、優しさも必要ですが、専門家である以上、専門的な面での厳しさを期待している方もおられます。
その辺りのバランス感覚は忘れてはならないと思っております。
まとめ
依頼を、出来る限り希望通り解決するように動くのは、弁護士として当然のことです。
しかし、同時に、それに付随する事務所や弁護士の相談者の方への対応姿勢についても、十分に満足していただけるものでありたいと考えております。
なお、顧客満足度1位などという、根拠の不明瞭なあいまいな表現は弁護士広告規定で問題とされています。
(業務広告に関する指針(平成24年3月15日理事会議決)13 )
だから、「当事務所が顧客満足度が高い事務所だ」というような、表現はしません。
しかし、顧客には満足してもらいたいと日々考えて、活動はします。