依頼者の方に対するときの心構え
初めに
私が弁護士として依頼者に接する時の姿勢については、何度か記載しておりますが、ここでは心構えというか、どういう気持ちで接するようにしているかを記載していきたいと思います。
やや抽象的な話になるとは思いますが、お付き合いください。
懇親会での話
先日の話ですが、専門職の集まりで事務所に依頼に来る人について、「依頼者様か、お客様か」という議題で議論をしたことがあります。
弁護士だけでなく、税理士や司法書士、公認会計士も交えて行いました。
その趣旨は、もちろん、呼び方がどうかということでなく、依頼に来た人に、どういう姿勢で対応するかということです。
私は、当初は、
「費用を頂く以上、お客様としての配慮で対応すべき」
と主張するグループに賛同していました。
しかし、途中から、
「弁護士の仕事は、お金が多いからとか少ないからとかでする仕事ではない。社会のために、費用を貰うこととは切り離して考えるべきだ。国家資格のある専門職とはそういうものである以上、そういう姿勢で訴訟の依頼者として対応すべきだ。」
という主張をされた方に賛同しました。
その時は、議論の白熱もあり、あやふやな結論で、流れてしましました。
が、今、改めて考えれば、この問題は、必ずしも対立する概念として討論することに無理があるような気がします。
結局、両面の良いところを取り入れて対応していけばよいという心構えで業務に臨んでおります。
思いやりを持って
弁護士として数年間事務所をやってきて、開所当初から今まで引き続いて思うのは、依頼者の方に満足いただくには、論理や理屈ではない、思いやりとか誠意による部分って大きいと言うことです。
同じサービス、同じ対応でも誠意があるかどうかってやはりわかりますよね。
私自身、例えば飲食店に行って、同じ挨拶をされても、やはり誠意や思いやりのある方はわかりますし、マニュアル通りの対応の方もわかりますからね。
マニュアル通りの対応が期待される店もあるでしょうから、マニュアル通りだから悪いというわけではありません。
店員の気分で対応変えられるよりは、マニュアル通りの方が良いこともあります。
しかし、
そうである以上、依頼者に合わせた対応が、常に期待される仕事です。
そして、依頼者に合わせた対応と言うのは、私の考えでは、事件処理を依頼者ごとに適切な形で変えていくのはもちろんのこと、
その依頼者ごとに思いやりと依頼者の立場を考えての対応が必要と言うことではないかと考えて対応しております。
相談者の話をよく聞く
事務所を開いたときは、私は相談者の方の話を、時間をかけてじっくり聞くタイプであったと思います。
しかし、経験を積むに従い、この点、変わってきました。
相談事由というものは、各相談者の方にとっては、めったにないことです。
が、弁護士は年間100~300件くらいは相談を受けます(他の方は知りませんが、わたしはそうです)。
それが何年か続き、相談経験が積み重なると、よくある相談というものがわかってきます。
そうすると、相手の話を最後まで聞かなくても、おおよそこういう話で、こういう解決が良いだろうと言うのが頭に浮かぶようになります。
しかし、それでステレオタイプに回答してしまうと、十分に依頼者の話を聞いていない分、判断ミスのリスクが高まります。
また、結論的にアドバイスが正しかったとしても、十分に話を聞いても貰えなかったという相談者の方の不満が残ります。
ひいては、相談者の方との信頼関係の確立も難しくなります。
多少焦って話をしても、じっくり話を聞いても、何時間も相談時間に差が出るわけではなく、せいぜい1時間前後のことです。
できる限り、じっくりと、依頼者の方の話を聞くように心がけております。
一つずつ誠実な対処を
いろんなトラブルを見て気づいたのですが、トラブルの時ほど落ち着いて、かつ、誠実に対処するほうが結果としてよい結果を招く割合が高いようです。
予測外のトラブルですので、焦ったり、困惑したりすることはもちろんあるとは思いますが、そういう時こそ、目の前の今できる解決をひとつずつ積み重ねていく姿勢が大事なように思います。
また、解決のために、ルールを無視した手段を取る方が早そうに思える場面もありますが、そういう時も時間をかけても誠実な対応を心がけるほうが、結局は良い解決につながるように思います。
トラブルの解決姿勢は、第三者も見ていたり、人伝手で噂になったりしますし、結局はその人の今後の姿勢を決めることになったりもしますしね。
結局、どのような仕事も信用第一です。
依頼者第一に行動した結果
依頼者第一で行動した結果、紹介での依頼者も増えてきましたが、それだけではありません。
なぜだかわかりませんが、紹介でない新規の依頼者も増えてきました。
大阪、神戸、芦屋や尼崎あたりはもちろん、加古川や姫路、奈良や和歌山、滋賀など遠方から来てくれる方もいます。
これは本当に不思議です。
逆に、依頼が減っているときは、後から思い起こすと、自分の中で少し驕ったところがあるなと感じた時期です。
すごい肩書きがついたとか、すごいCMをしたというのでしたらわかりますが、そうでなく、人に徹底して感謝して対応することで、その対応相手だけでなく、新規の依頼も増えるのは本当に不思議です。
安っぽいビジネススキル本見たいで、なんだか恥ずかしいですが、依頼者の増やし方は、「徹底した感謝と思いやりのある対応」を続けることに尽きると思います。
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