会社の権利とその移転

会社の権利とその移転

会社の権利とその移転

会社を譲りたい、譲ってほしいという相談があります。

会社の権利、株式会社の構成員(社員=株主)としての地位(社員権)は、細分化されて株式として各株主に所有されます。

(なお、持ち分会社(合同、合名、合資会社)上社員というのは、会社の権利者のことで、いわゆる従業員ではありません。)

 

売買

この会社の権利者たる株式ですが、これは普通のものと同じように売買や譲渡がされます。

なんとなく、なじみがない方からすると不思議に感じるようですが、普通に売買契約の締結で権利が移転します。

その譲渡割合が高まれば、会社自体を譲渡、買収することになります。

(株式の譲渡) 会社法 第百二十七条 株主は、その有する株式を譲渡することができる。

 

「第百二十九条 株券発行会社は、自己株式を処分した日以後遅滞なく、当該自己株式を取得した者に対し、株券を交付しなければならない。」とされていますので、株券があれば、その交付も必要ですが、最近はそういう会社は少ないでしょうね。

 

権利移転の対抗要件

この株についての権利関係は株主名簿に記載され、会社の本店に保管されます。

 

(株式の譲渡の対抗要件) 会社法 第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

 

これは、株について何らかの権利の争いや紛失、取得があれば、普通の人はその会社に連絡して確認するはずだから、その会社に権利関係を管理させようという趣旨からできた規定です。

 

余談ですが、私が司法試験受験の年に、ちょうど、試験科目が旧商法から、この会社法に切り替わりまして、教科書がなく、六法と昔の判例を照らし合わせながら勉強したのを思い出します。

 

大変でしたが、教科書がない中、昔の判例が法の改正で、どのように影響するか自分なりに検討するのは楽しくもあり、力もついたと思います。

(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録) 第百三十三条 株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。

 

株を取得した人は、株主名簿の書き換えで権利を明確にします。
 
この株主名簿、親子や家族間だけで株を持っている中小企業などでしたら、作成していないこともありますが、相続や事業承継の中で、権利を明確にするのに必要ですので、機会に応じて作成していくのが良いでしょう。
 
なお、法定の記載事項を満たせば、この株主名簿の形式に特殊な書式などはありません。
 

第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。

一 株主の氏名又は名称及び住所 二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数) 三 第一号の株主が株式を取得した日 四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号

 

中小企業では

中小企業では、株主名簿がなかったり、特に気にしていないということもあります。

身内で株を持ち合っているようなときは、問題にならないからでしょう。

しかし、主要な株主権取締役が亡くなった場合、株の状況がわからず、残された人が困るようなこともあります。

決算書などの株の記載があいまいで、株の帰属をめぐる争いが何らかの事情で生じて困るということもあります。

余裕があるときに作成して置くのがよいでしょう。

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