目次
相続の相談事例
はじめに
ホームページの記載以外の過去の経験事例についての一部を、こちらに記載してみます。
なお、事例は、個人のプライバシーや当職の守秘義務を害しないように、内容に一部変更・修正がくわえられております。
また、一事例としての記載であって、全てこのような解決になるものではありません。あくまで参考例としてご覧ください。
亡くなった人の車と相続放棄
事案
亡くなった人が、中古で100万円くらいの価値のある車(実際には他にも資産があったのですが、単純化しております)を持っていたという事例がありました。
いろいろな事情があって、すべての相続人は相続放棄したのですが、亡くなった人が持っていた車はそのままになりました。
相続人は相続放棄しているので処分ができず、車を置いたままの駐車場のオーナーは困ってしまい・・・ということがありました。
対応
当事務所に相談がありましたので、裁判所に、相続財産管理人を申立てました。
そして、私が相続財産管理人に就任しました。
相続財産管理人として財産を調査し、車を処分し、債権者に配当し、そして清算いたしました。
まとめ
相続放棄しても、管理責任は残ります。車や家などは形があるものとして残ってしまいます。
このために、相続放棄しても実質上、そのまま放置するわけにはいかないことはあります。
そういう場合は、相続財産管理人による処理が検討できます。
若干、手間と費用は掛かりますが、相続財産管理人を選任し、残った相続財産をきれいにすることで、相続放棄後、将来に憂いを残さないことが可能です。
奪われた遺産の回復
事案
人によっては、悪気はなく、長男が全財産を相続するのが当然と考えておられる方がいます。あるいは、子らに渡す必要くらいはわかっていても、ある子が亡くなっている際に、その子(孫)にまで渡す必要はないと考えている人がいます。
相続人に2人の息子がいたが次男が亡くなっている事例で、被相続人(母)の相続財産を長男が全財産をとって渡してくれないとの相談が、次男の子からありました。
対応
当職が依頼を受け、長男に法律を示して、相続財産の分割の必要性や訴訟や調停まですることなく解決したいことを説得、ご納得頂き、了解してもらいました。
不動産がありましたので、不動産と預貯金を合わせて清算、長男から当該財産分を現金で譲ってもらい、解決しました。
まとめ
このように、悪気がなく、昔からの慣習が正しいと信じきっている方は、しばしばおられます。
そのような場合、法律の規定と分けなければならないのだということ、分け方の配慮をすること、誠実に説得することで、大きな裁判にすることなく解決することがあります。
相続については、こじれるとかなり長期化しますし、裁判費用で相続財産自体、食いつぶすことにもなりかねません。
このような事例で、策を弄すると、先方が弁護士に相談した際、それが発覚し信用を失い、かえって相続関係が混乱することもあります。
誠実に、正しい権利、分割に基づいて、話し合うのが一番です。
この事案は、裁判にすることなく、半年でスムーズに解決できました。
遺言の作成と執行
事案
意思はあるが、高齢で動けない人のもとに、全くご本人は信仰してない近隣の宗教団体が、日々、寄付に押しかけ、財産がとられそうという相談がありました。
親族も交えて、話を聞いたところ、強引に遺言まで作成させられたとのことです。
そして、その遺言を撤回したいとの話でした。
対応
当職が出張しご本人の意向を確認。遺言のひな型を作成し、ご本人に確認してもらい、その後、公証人に出張してもらい過去の遺言を取り消し、公正証書遺言を新たに作成しなおしました。
亡くなった後の財産移転の不安もあったので、遺言執行者に当職が就任。
無事に親族に、遺言通りのお金を渡せました。
亡くなった後に、宗教団体が押し掛けるなど、ひと悶着があったようですが、遺族の方が「弁護士が入って、間違いない遺言はあるし、弁護士が執行している」というと帰っていったようです(後日、遺族の方から聞きました)。
まとめ
遺言は、その方の最後の意思です。
間違いのない意思を残し、それを執行するのに、公正証書の遺言作成や弁護士執行人の選任を進めております。
もっとも、執行人にはそれなりの費用がかかります。何らかの紛争の恐れが低いのに、付けることをアドバイスすると無駄に費用をかけることになるリスクもあります。
遺産の取り込み
事案
遺産を独り占めした親族からの回収を依頼された事件がありました。
遺産を親族の一人が取り込んでいるため、情報も不明というものです。
検討
相続人であれば取得できる情報というものがいくつかあります。
また、弁護士であれば取得できる情報というものもあります。
そういう情報をアドバイスしながら、コツコツ調べて繋ぎ合わせていき、可能な限りの遺産情報を調査しました。
預金の取引履歴、そこに記載のある証券会社の調査、引落しのある保険確認、名寄帳からの不動産調査・・・。
そして、それをもとに調停提起しました。
結論
その後、相手からの残りの情報開示もあり、結果的に遺産のうちの相続分の回収が出来ました。
実際に、ご実家が遠方などですと、財産の確認が難しいことはよくあります。
ただ、それでもある程度の金額があるであろうことまで想定できれば、費用をかけても弁護士を使えば回収できることもあります。
まずはご相談されるのがよいかと思います。