弁護士の選び方
はじめに
弁護士の選び方について、以下記載します。
いろんな弁護士の選び方はあるでしょうが、依頼者である方が判断できるものである必要があると思います。
よって、一般の相談者依頼者の方が判断することが不可能なもの、例えば専門能力が高いかどうかとか判例をよく知っていると言ったものは、省いて検討しております。
また、紹介が無いからこそ選ぶ方法を検討されているでしょうから、信用できる紹介者を探すといった方法ものぞいております。
なお、執筆はあさがお法律事務所 弁護士 岡田 晃朝が行っております。
公平な記載を心掛けてはいますが、私の視点がどうしても入ってしまっている点は差し引いてお読みください。
弁護士選びポイント
上記のポイントの理由と欠点
上記をポイントに選んだ理由は以下の通りです。
広告、ホームページの記載
これを選ぶ基準の最初に持ってきたのには理由があります。
それは、他の基準と違い、法律相談費用を使う前、弁護士事務所に行く前に、チェックできることです。
弁護士には広告規制があります。
ホームページとか、広告ですから一般の方は比較的目にしやすいものです。
そしてこのルールが守られているかは、依頼者でも確認しやすい情報の一つです。
以下のような禁止される事項が含まれていないか、確認しましょう。
「禁止されるもの」
①「〇〇企業相談所」、「○○交通事故センター名」、「〇〇相続センター」などと言う、本来の事務所名と別の名称を用いている事務所
その弁護士事務所とは別に○○センターが実在しない場合は、弁護士広告規定3条1号違反になります。
また、法律事務所等の名称等に関する規程第6条もしくは第13条の複数名称の禁止に違反する広告に当たる可能性もあります。
その団体の長のような記載があれば、実体のない団体、ほとんど活動していない団体の役職又は経歴を表示することの禁止に当たる可能性もあります。
②客観的に明らかにできない、あるいは誤信させるような実績数の表示(弁護士広告 規程第3条第2号)
明確な根拠もなく実績件数を載せたり、
他の解決例に「あなたも可能です」といった表現を載せて同じ解決を誤信させる記載、
「基準を示さずに安くします」と言った表現は禁止されています。
③誇大な記載、過度に不安をあおる広告(弁護士広告 規程第3条第3号4号)
「なんでも解決します」「どんな事件でも対応できます」と言うような記載は問題とされています。
「今、解決しないと権利を失います」と言う不安をあおるような記載も許されません。
④他事務所の侮辱、貶める記載。違法行為を容認する記載(法の抜け道教えます等)
「法の抜け道、抜け穴教えます。」
このような広告が許されないのは言うまでもありません。
なお、広告の有無に限らず、そういう対応も許されません。
⑤役職経歴などから、特に有利な解決ができるような記載
役職又は前履歴を表示し、その役職又は前履歴によって特に有利な解決が期待できることを示唆する次に掲げる例のような表示は禁止されています。
「元特捜部検事 検察庁に対する押しが違います。」
「○○家庭裁判所の調停委員 ○○家庭裁判所に顔がききます。」
⑥「最も」「一番」「完璧」「パーフェクト」「常勝」「不敗」などの表現。
「最も」「一番」「完璧」などは、一般的な広告ならば、よくあるもので、つい使ってしまいそうになります。
しかし弁護士は使ってはいけません。
⑦勝率の記載
これは以前、別に記載しました。
*以上については、
「日本弁護士連合会 業務広告に関する指針(平成24年3月15日理事会議決)」
を抜粋して記載しております。気になる方は、直接検索されてみてください。
信頼関係が大事
実は、弁護士と依頼者とのトラブルは、
法律の専門知識云々を原因にするものより、相互の信頼関係の確立の問題に起因することが多い
です。
専門知識が問題になるトラブルも、専門知識がないこと自体でなく、専門知識がないことを調べなかったり、専門知識がないことを正直に告げない態度から問題になることが多いです。
信頼関係の確立のためにも、まずは普通の社会常識のある対応がされているか、誠実で正直か、その点を検討確認しましょう。
専門性の個別判断はできるはずがない
弁護士の選び方のポイントで、高度な専門性をあげても一般に判断できるはずがありません。
相談者の方は、そこが分からないので相談しているわけですから。
ですので、専門能力があったほうが良いのは当然ではありますが、この点を検討事由に入れても、意味がありませんので省いてあります。
誠実さと専門性の関係
見通しや目途を伝えたり、わかることとわからないことを整理して伝えたり、問われた質問に適切に回答する。
上記に記載したような姿勢での対応には、普段からの勉強が欠かせないことです。
誠実な人柄の弁護士でしたら、自分が苦手な分野であれば、正直に告げて他の事務所を勧めるか、後日になっても、調べて回答します。
結局は、弁護士としての専門能力も、その人柄を見れば、ある程度は推測できます。
完全にでは無いですが、上記にあげた常識的対応をしている弁護士は、少なくとも依頼を受ける分野について、必要な勉強は行っている可能性が高いです。
費用
最近、ネットサーフィンをしていると弁護士事務所を変えたところ、弁護士費用が数千万円変わった話があるホームページで書かれていました。
そのサイトに結局弁護士費用をどのように考えたらよいかという点について、事例を挙げて
「私は、あまりにも高額な弁護士費用の事務所は論外ですが、 あまりにも安すぎる事務所もどうかと思っています。」
「今回の弁護士費用は、多くの弁護士が納得する金額ではないかな」
との記載がありました。
結局、安心して適切なサービスを受けれる費用としては、見積もりの額が、一般的な価格の範囲での検討が妥当ということなのでしょう。
(もっとも、理由があって安くされている事務所、高くされている事務所もありますので、断言はできませんが)
話しやすくないと後から困る
時折、当事務所にセカンドオピニオンを聞きに来られる方がいます。
で、いろいろな相談を受けます。
・
そこで、私は依頼者の方に自分なりの回答を説明した後に

「それ、今、お話されている先生に聞けば、すぐ教えてくれることだと思いますよ。」
と伝えることが多いです。
これに対して、

「今の先生には、恐ろしくて(恐れ多くて)、そんな質問できません・・・」
と答えられる相談者の方は、それなりにいます。
しかし、弁護士に依頼するのは、そういうことを教えてもらうためでもあります。
ですので、話しにくい弁護士だと、弁護士を雇っている目的の一部が達成でいない可能性があります。
(もちろん、聞きやすさよりも、弁護士の威厳とかほかの点で評価されているならば、その評価を優先させる検討もあるでしょうので、一つの視点とお考え下さい。)
上記の選び方の欠点
決定的な欠点は、やはり費用と手間、時間が掛かります。
話しやすいかどうか、真摯な対応か、その他記載の各事情は、実際に合わないとわからないものも多いです。
そうすると相談料と時間がかかることがあります。
無料の事務所もありますが、無料相談の事務所ばかりを廻ると、どうしても偏ってしまいます。
もっとも、依頼する内容は、通常、離婚など人生がかかることや何百万という大金の請求です。そこは時間をかけられてもよいように思います。
その他の考慮事項、注意すべきこと
選ぶ際は、その弁護士自身をみましょう
それと、注意すべきことは弁護士を見るときは、その依頼する弁護士を見ることです。
事務所ごとに、ある程度事務所の傾向はありますが、各弁護士がいる場合は一人一人、その考えや性格能力、方針が違います。そして、弁護士は基本的に依頼を受けた、その1人が対応するものです。
当事務所は、弁護士が私一人の事務所ですが、しばしば「大きな事務所に行ったら、1事件で解決までに3人も担当が変わって、信用できないので弁護士事務所を変えたい」と相談に来ていただけることがあります。
あるいは、「著名な弁護士を紹介されて期待していったら、その事務所の新人をあてがわれて、がっかりしたので、弁護士を変えたい」と相談に来られる人もいます(新人でも優秀な方はいます、念のため)。
自分のために誰が動いてくれるのか、その弁護士自身を良く検討するようにしましょう。
事務所の規模
これを気にされる方はしばしばいます。
いろんな業種と弁護士とを検討して、一番一般の人に、わかりやすい例ではないかと思ったのは、美容院との比較。
大きな美容院と美容師1人の美容院。
どちらが散髪がうまいか。
これに似ています。
美容院では、要するに、自分の髪を切ってくれる担当者、次第でしょう。
洗髪と散髪とセットとパーマと、数人がかりで担当してくれる美容院もありますが、結局は上手いかどうかは、メインの担当美容師の腕次第でしょう。
弁護士事務所も何人弁護士がいても、担当するのは一人ですので、結局、その一人が優秀かどうかです。
病院などのように機械や設備がいるわけではないですから、大きいところでないとできないということはありません。
また、商品を売るわけではないですから、大きくないと売り物が少ないというわけではありません。値段もあまり事務所の大きさとは関係ありません。
(注意:大きい事務所が駄目という意味ではありません。
大事務所は、いろんな弁護士がいるので専門の弁護士が探しやすかったり、弁護士同士で2重のチェックができること、仮にある弁護士が辞めてもほかの弁護士が引き継げるというメリットもあります。)
当事務所は弁護士一人の事務所ですので、若干は、自分に都合のよいように記載してしまっているかもしれません。
本記載を参考にするときは、その分を差し引いてお読みください。
健康と年齢
依頼する業務次第ですが、その弁護士の年齢と健康は検討しましょう。
通常はあまり関係ありません。裁判が長くかかると言っても数年の話ですから。
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しかし遺言執行者などでしたら別です。
遺言執行者とは、その方が亡くなった後で、その遺言の内容を実現するために動く人です。
遺言執行者になるということは、当然、その遺言作成した方が亡くなる時点で、健康で仕事ができる状態である必要があります。
後見人なども、その方が亡くなるまでのお付き合いとなります。
長寿の時代ですから、このような業務では、数十年にわたって仕事ができるであろう年齢か、健康状態にあるかは気にされた方が良いかもしれません。