弁護士と他の士業の違い
「弁護士と司法書士の違い」
まず、訴訟に関与できる資格であり、弁護士と違いの分かりにくい司法書士との違いを記載します。
業務範囲
弁護士は法律業務をすべて扱うことができます。
弁護士の業務範囲は、弁護士法上、
とされています。
不動産関係の事件について、裁判例では、弁護士も事件の解決に関して登記業務は行えるとされています。
これに対して、司法書士等は法律で限定された法律業務の範囲のみを扱うことができます。
司法書士法に規定は細かいので、概要をあげますと
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
とされています。上記に挙げた以外の各号は土地の境界などに関する定めです。
司法書士は、主として登記事務や土地の問題に対応をしながら、軽微な訴訟対応も可能というところです。
訴訟
基本的に請求額が、簡易裁判所の事件なら、弁護士でも司法書士でも代理対応可能です。
簡裁は地裁より身近に各地にあります。西宮簡裁とか、東大阪簡裁とか、地裁のない地域にもあります。
弁護士でも、司法書士で代理してもらった方が依頼者にメリットがありそうなときは、司法書士を勧めることがあります。
逆に、簡易裁判所の請求事件でも弁護士の方が適している場合があります。
例えば
・請求額が不明の事件
・法的に複雑専門性がある事件
・地裁では対応できないような事件も含めて、複数の事件をまとめての解決が適している場合
実際には
司法書士の本業の登記移転などは、弁護士も依頼することがありますし、司法書士の仕事に高い信頼が出来ます。
一部訴訟もされる事務所もありますが、実際にはまずは司法省氏の先生の中心となるのは、不動産関係の法的な処理となるのでしょう。
逆に、訴訟事件については、弁護士に依頼することの方が多いと思います。
業務によっては弁護士と司法書士で協力して対応することもあります。
私もしばしば、司法書士の先生と共同して解決のために動きます。
訴訟上の研修や能力
弁護士は、裁判官・検察官と同様、司法試験に合格し最高裁判所の司法研修所を卒業し、弁護士会に登録した者です。
これに対して、司法書士は、訴訟を行う場合は、一定の研修・考査を受けると認定司法書士として事件の代理等関係業務を行ことができるようになります。
本来、法律関係業務は、法曹(弁護士)が行うべきものですが弁護士の数が少なかったため、それを補完するために設けられた制度です。
費用
費用の面ですが、これは弁護士費用も司法書士費用も、似たような金額であると思います。
弁護士の方が高額の事件を取り扱いますし、訴訟の費用は訴訟額のパーセンテージで請求することが多いので、弁護士が高いイメージがありますが、これは誤りです。
同じ金額の事件の対処となるとそうでもありません。
例えば過払い金の報酬、ネットなどで司法書士の報酬は、回収額の20%(税別)が多いようです。
これに対して、弁護士は弁護士会の規定で、過払い金の報酬は経済的利益の20%(税別)以上の報酬は得れません。
ですので、ほぼ同じです。
破産の場合、司法書士の費用はネットで見た限りでは、20-30万円が多いですが、弁護士の場合も20-30万円(弁護士会2008年度調査)が多いです。
破産の場合は、弁護士は代理人としてあなたに代わっての行為が可能なのに対して、司法書士は書類作成の権限しかありません。
「弁護士と行政書士の違い」
行政書士は紛争には関われませんし、大きな違いがありますが、なかなか業界外からは分かりにくいようです。
その違いについて書きます。
弁護士の業務範囲
弁護士は、法律業務すべてができます。
行政書士の業務も、弁護士はすべて業務可能です。
実際には、訴訟やそれに関連する業務をすることが多いですが、それ以外の業務も対応可能ですし、決してそういう依頼も不可能ではありません。
行政書士の業務
これに対して、行政書士の仕事ですが、これは基本的に役所への申請書などの書類作成です。
行政書士法 第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする(カッコ書省略)。
次に、その申請書面の役所への代理提出と、書面の作成方法などについての相談を受けることなどが出来ます。
行政書士法 第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
以上の通り、行政書士の業務は上記の限度に限られています。
訴訟や紛争への介入は出来ません。
行政書士は、文字通り、主として「行政」機関等への提出「書」類の作成を代行する「士」業です。
契約書なども紛争がなく話がついて条項も決まっているものを、「清書する」ようなこともされているようです。
行政書士の業務でよく聞くのは、大規模の車屋さんなどが自動車の登録を一括で依頼するような場合とか、建設業の許可、会社設立や帰化申請、風俗営業許可等でしょうか。
紛争になっていなければ、書類作成の代行などもしばしば聞きます。
注意
尚、書面作成でも、紛争性がある事件については行政書士は関与できません。
これは弁護士でなければ、対応できません。
(簡易裁判所の事件であれば認定司法書士も対応可能です)
「弁護士と税理士の違い」
これについては、何となくはご存知の方も多いかと思います。
ただ、意外と具体的な事件になると判断に迷うようです。
例えば相続時の相続関連一般だと、遺産分割などの弁護士的側面と相続税などの税理士的な業務の2面があります。
弁護士は法律業務一切をできます。
税理士業務も、資格上理論上は可能です。
条文上も明確に書いてあります。
弁護士法 第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
・
これに対して税理士は文字通り、税務業務を専門にしています。
税理士法 第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする(カッコ書省略)。
税務訴訟を取り扱っているにしている弁護士なども、税理士と共同して、ことに当たることが多いかと思います。
また、会社の破産などの際に協力してもらうこともあります。
訴訟では、税理士は
とされており、代理人にはなれません。
実際のところ
弁護士も実際の税務業務は税理士の先生に任せたり、相談することは多いです。
条文上記載があっても、実際には、弁護士は税務業務を普段行っていないことも多いですから。
両方とも万が一にも、間違えてはいけない業務ですから、「多分こうだろう」で、進めることは控えることが多いです。
ですので、専門外の業務に、「多分大丈夫」というだけでは進めません(この辺り司法書士や弁理士と弁護士の関係でもそうですが)。
このため、税理士と弁護士の業務は、実際のところは住み分けがはっきりしているように感じます。
税金関係や税務は税理士、訴訟や法律相談は弁護士です。
「弁護士と弁理士の違い」
弁護士と弁理士の違いを書きます。
一般的にも「弁理士」という仕事自体あまり知られていないようです。
弁理士とは、
とされています。
端的に言うと特許や商標や意匠出願の代行の仕事です。
・
弁護士は
弁護士法 第三条 2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
と定められていますので、弁理士の仕事もできます。
(ちなみに、なぜ条文に、「当然」と書かれているのかは、よくわかりません。誤記ではありません)
当事務所のように著作権法などを取り扱っていると、その絡みで質問を受けたり、会社関係の相談や不正競争防止法関係の相談のなかで商標の相談を受けることはあります。
私はたまたま、サラリーマン時代、商標登録や特許出願を、自らした経験がありますので、ある程度の相談は可能です。
ただ、弁護士で、弁理士的な仕事をしている人は少ないでしょう。
弁理士は特許の分野によっては、相当高度な知識が必要です。
その特許の前提となる分野(例えば科学や薬学など)の知識が必要です。
弁護士も特許関係の法律面や手続き面は理解していても、結局は、そういう専門的な知識では、弁理士の助力が実際には必要です。
まとめ
餅は餅屋。
各種の専門に応じた士業に依頼する方がよいでしょう。
もっとも、一般の方は専門分野などわからないことも多いです。
法律問題かどうかわからないというときは、いつでも当事務所にご連絡ください。
対応できる分野は対応しますし、専門外ならば、その旨をご案内します。