中小企業の労働問題
中小企業において労働基準法違反は、それなりに多いです。
しかし、中小企業の経営者の方には、実際には従業員思いの人は相当に多いです(もちろん、問題がある人もいますが)。
このため、労働問題が生じると大変残念に思うことも多いです。
例
従業員思いの人が多いのに、労働基準法違反となるのは、以下のような例があるからです。
例えば、会社の給料基準が明確でない会社などで、よく頑張った社員がいる場合、社長がぽんっと25万から40万に給料あげてしまったりすることがあります。
社長としては、残業して頑張った社員に、残業代も込みで与えているつもりでしょうが、これは法律的には通用しません。
基本給25万に、残業分を計算して払う以上の額を払っているので、社長としては「なぜ?違法?」と思うのでしょうが、あくまで基本給と残業代は給料明細上、明示して分けなければなりません。
単に給料を25万から40万にあげると、基本給が上がっただけになりますので、この上がった基本給40万円をベースにして、割増の残業代を別に払わないと、労働基準法違反です。
あるいは家族の都合で、どうしても休まなければいない社員がいるとき、「うちには有給休暇はないけど、困ってるやろうから」と、社長が休んだ分の給料相当額をポケットマネーから出したりする話もあります。
これなども、有休休暇がないなどということは違法です。
普通に有給休暇をあげて、会社からお金を出せば何の問題もない話なのに、このような対応をすることで、「有給休暇を認めない」違法になってしまいます。
同じようなパターンで、社宅ないけど、困ってるやろから、近所にアパート借りてやるというのもあります。
普通に社宅の規定を置いて貸してあげるか、あるいは、そこは厳しく住居は自分で何とかするように指示すればよいのに、ちょっとした親切のつもりでしたことで、
従業員側は「社長名義の家に住まわされて会社辞めさせてもらえない」という問題なり、
社長側は「自分の借りている家に住んで、急に仕事辞めたいといってるけど、出て行ってもらえず困っている」という状況になります。
中小企業の社長の意向
実は、中小企業の社長からは、破産する時でも、「従業員だけには迷惑をかけないでほしい」といわれることは多いです。
中小企業の経営者の方は、実は従業員思いの方は多く、実際に従業員に相当のお金を出しているのに、法的手続きを踏まないために違法になって、後日、困られる方は相当に多いです。
マスコミなどの報道を見ると、金の亡者のようなブラック企業の経営者と清貧な労働者がいるかのような報道が目立ちます。
が、実際に労働問題の現場で話を聞くと、そのような極端なことは少ないです。
労使ともに極端な話題を上げているだけですので、これに振り回されると、かえってうまくいきません。
会社の就業規則や労働関係の手続きをそろえることは、普通の会社では本業自体ではないですし、手間がかかるのが嫌なのでしょうが、現在は労働基準法違反の会社は厳しい目で見られます。
実際には、事前に手続きや準備をすれば防げることもありますので、大きなトラブルになる前に弁護士にご相談されてください。