【会社の後継ぎ問題】事業承継と相続

【会社の後継ぎ問題】事業承継と相続

【会社の後継ぎ問題】事業承継と相続

はじめに

ご自身がこれまで成長させてきた事業を子に承継させたい。

そういう思いをお持ちの経営者の方はたくさんおられると思います

しかし、事業・会社というものは、出資分に応じて株式などの形で株主に所有されています。

この株式というものも相続財産です。

ですので、何も定めがなければ、株主がなくなれば、相続財産の一つとして、株式もそれぞれの相続分で分けて相続人が相続します。

(注意点1)株主が分かれた場合の弊害

経営者の方はもちろんご存知でしょうが、取締役に誰をするかなどの会社の重要事項は、株主総会で、株主の議決権の過半数の決議で決められます(会社法309条)。

第309条 
1 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
 

そのため、この株式の相続のされかたによっては、様々な問題が生じます。

2人の相続人が半数ずつ持ち合う遺産分割となれば、その2人が対立すれば過半数を超える株主が居ないので会社が動きません。

代表取締役の地位も株主総会の決議で決まりますので、株の所有者が細かく分かれてしまえば、代表者の地位が不安定になり、思い切った経営ができなくなることもあります。

親族の一部が細かく分かれた株を第三者に売却し、経営に好ましくない第三者が経営に介入してくる危険もあるでしょう。
このため、遺言や生前贈与などで株の帰属について、会社を継ぐ人に配慮して定めておく必要があります他に定款などで対策可能な部分もありますが、ここでは置いておきます)。

(注意点2)事業譲渡の準備をしていない場合のその他の弊害

気を付けるべきなのはそれだけではありません。

特に中小企業の場合、代表者と会社の財産の帰属が不明瞭になっていることがあります。

経営において重要な財産、会社や工場の所在する土地の名義、特許の一部などが代表者の個人名義のままであり、会社との使用契約がないまま利用されている場合もあります。

また、会社の債務に取締役が個人で連帯保証していることも多いです。リース契約だけ個人になっているというような場合もあります。

このような場合、株式についての対処をしただけでは足りません。

それぞれの各積極消極財産についても、対応策を準備しておく必要があります。

結語

事業承継と相続ということになりますと、経営者が亡くなることを前提としての話となります。

そうすると、経営者としては、対策後の求心力低下などが気になるでしょうし、周囲の人としては経営者が亡くなる前提での話はしにくいでしょう

このために十分な準備がされていない会社が8割にも上るとのデータがあります。

しかし、どのような方でも必ず亡くなる時が来ます。

代表者で筆頭株主が亡くなられても、取引は毎日動きます。そのような中、会社を動かせる権利にを持つ人があいまいになれば大きな問題が生じます。

一応

第346条 1 役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。

という規定はあるものの、ここにある一時役員は、社外の弁護士などですから、あなたの会社の取引を十分理解しているわけではありません。

会社を安定して残せるように、弁護士などに相談しつつ、早めに手立てを考えておくべきでしょう。

なお、事業証明には税務上も特殊な検討が必要な部分があります、弁護士と同時に税理士にも相談を検討されるのが良いでしょう。

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