「労働問題」の特徴

「労働問題」の特徴

労働問題の取り扱いについて

初めに

あさがお法律事務所では、労働問題については、労働者側もあれば、使用者側も良く受けます。

労働問題の解決には、訴訟だけでなく、調停や審判などもありますが、労働者側と使用者側の両面を見ることで事件の性質が見えてきます。

 

 

労働者側か使用者側か

労働事件において、会社側か労働者側か、しばしば聞かれます。

この点、どちら側ということもなく、法的に事案的に正しいと思うなら受任しております。

一般的に事案は様々ですし、どちらにも相当の言い分がある場合も多いです。

そのような中、「労働者が~」、「会社が~」と、特定の思想から特定の意見を持って判断するのでなく、個々の依頼者のために全力を尽くすのが私どもの姿勢です。

では実際に、どれくらいのバランスで依頼を受けているのかというと、平成27年末の現時点では、企業側65パーセントと労働者側35パーセントくらいの割合です。

労働問題については、両面を見るからこそ、見えてくる側面もあると考えております。

 

手続き

労働問題に対応する場合、他とは違う手続きがあります。

訴訟などで争い、交渉での争いは同じなのですが、ほかに調停による場合、労働審判による場合、裁判外での紛争解決機関のあっせんなどによる場合もあります。

調停

このうち、調停は、ほかの紛争解決手続きでもされることではありますが、労働問題については、比較的多いかと思います。

白黒つけにくいところもあるからでしょう。

紛争調整委員会によるあっせん

都道府県労働局によるものです。

当事者だけでされることもありますが、弁護士が介入して対応することもあります。

あくまで、相互にあっせん案に合意しなければ成立しませんので、必ずしも解決できるとは限りませんが、費用が掛からず迅速であるという特徴があります。

労働審判

労働審判(ろうどうしんぱん)は、労働者と事業主との間で起きた労働問題を労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名が審理し、解決を図る裁判所の手続きで、平成18年4月から始まった比較的新しい制度です。

原則は3回の期日で解決まで話を進めますので、早期の解決(それでも2-3か月はかかりますが)が可能なところに特徴があります。

弁護士が依頼を受けて介入して対応することも多いです。

この段階で、ある程度書証なども出しますし、証拠の主要な部分が開示されれば、弁護士であれば見通しも見えるところがあります。

ですので、最終は審判決定もされますし、異議があれば訴訟に移行できますが、実際には和解で終わることが相当に多い(約80パーセントとされています(平成23年統計))ものです。

 

証拠の特徴

労使いずれも、労働問題では、あとからは証拠をそろえにくいが、タイミングさえ合えば、証拠をそろえることが不可能ではないことも特徴があります。

これが、不貞(不倫)の証拠などでしたら、興信所を使わないと取るのが難しいと言うことはあります。

しかし、労働問題については、労使ともに、会社に在職中ならば、比較的にとりやすい証拠が多いです。

労働者側

労働問題については、労働者側としてはどれだけ証拠を確保できるかが大きいです。

残業にしても、パワハラにしても、辞めてからでは証拠の収集は難しいです。

実際に、私が使用者側についたときでも、就業規則や出せる範囲でのタイムカードや業務日報、シフト表、業務日報など、ある分は提出するのですが、それ以上の資料は、大企業ならともかく中小企業では、辞めた社員の関連する資料などは処分することも多いです。

また、同僚の証言なども、勤務中と辞めた後ではガラッと変わることも多いです。

労働者側としては、これらの証拠をなるべく在職中に取得し、確保しておくことが必要です。

会社側

会社側は、労働者よりさらに早めの相談が重要です。

早い段階であれば、労働者が問題行動を起こした時点(遅刻、業務命令違反、無断欠勤)で、毎回警告や反省文の取得といった証拠を確保しておけます。

就業規則や日常の業務日報などの完備なども可能です。労働者の業務中の私用メールの記録なども取得できます。

また、労使紛争が生じた場合に、必要であれば譲歩もしながら説得すれば、そもそも裁判などにせずに、話がつくこともあります。

 

具体的な紛争

労働事件には、様々なものがあります。
その中でも、調停や労働審判、訴訟などの対応で多いものと言えば、以下のようなものがあります。

・解雇、退職の問題
・懲戒処分
・セクハラ、パワハラその他会社環境についての問題
・休日出勤や残業代、退職金などの給料支給についての問題。

他にも以下のような相談もよくありますが、なかなか訴訟にまで進むことは少ないです。

・人事異動の問題

これらは、採用や人事異動を争って、仮に勝訴したとして、はたして意味があるのか(その会社では永遠に閑職でしょうし)というところがありますので、退職などほかの問題に絡んで出ないとあまり対応はないです。

その他特徴

労働問題の訴訟で思うのは、結構極端な主張が多いなということです。

それと、あり得ないような大げさな主張の割に証拠がないことが多い気がします。

労働者側でも使用者側でも、相手の極端な主張に流されず、冷静に対処主張することが、結局、有利な解決に近づくと思います。

いずれにせよ、早めの相談が重要な分野であると思います。

あさがお法律事務所

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