法律相談での限界

法律相談での限界

法律相談の限界

法律相談を見積もりのための対応とか、依頼につなげるためのもの、訴訟の前段階のものと考えておられる方がいます。

しかし、私どもの事務所では、あくまで法律相談は法律相談であり、なるべく、そこでのアドバイスでの解決を目指します。

法律相談は病院で言えば診察のようなものですから、事案に応じて、手術(訴訟)を勧めるもの、薬(訴訟以外の法的手段)を勧めるもの、時間をおいて様子を見るもの、それ以外のご自身での活動での改善をアドバイスするもの、様々な回答がありえます。

ただ、そのような法律相談でも、限界がないわけではありません。

 

法律相談の限界

第三者の立ち合い

稀にですが、ご本人のご友人の方が、本人に代わって法律相談に行きたいという問合せがあります。

 

ご友人の方がご本人に付添って来るのは、何の問題もないです。

弁護士事務所と言うものに一人では行きにくいという心境は理解できますし、また、法律分野や経済分野に強い友人がついてきてくれた方が話がスムーズになりそうと考えられる方がいるのも理解できます。

年配の方などでしたら、付添の方がいないと出歩くのが難しいということもあるでしょう。

ですので、付添は、歓迎しております。

 

問題は、友人や家族だけが代理で来られる場合です。

この場合、まず、依頼は出来ません。これはどこの弁護士でもそうです。

 

では相談だけならばどうか。

これについては対応している事務所もあるようです。

しかしながら、当事務所の方針として、特に近い親族(親子)で、利益相反がまずは無いといえる事情の場合の対応以外は、原則はお断わりするようにしております。

 

というのは、

①本人から直接話が聞けないので、十分で適切な情報が得れないこと

②本人の方針や意向が正確にはわからないこと

③本人とその代理人が利益相反しており、その代理人がそれを隠して相談に来ている可能性があること

④事件屋(事件に介入してお金をとる違法な存在)や本人にお金を貸している闇金業者などが、友人を名乗って代理人として来ている可能性が否定できないこと

⑤予期しない本人のプライバシー侵害につながる可能性があること

などからです。

 

なお、ご友人が代理で来られるという場合は、ご本人がどうしても事務所に来れない事情があるという場合もありますが、その場合は病院やホテルのロビーなどで出張対応をしております(別途費用が掛かることはあります)。

堅苦しい対応と思われるかもしれませんが、既にトラブルが発生している以上、わずかのリスクも避けて対応していくのが私どもの姿勢です。

ご理解下さい。

 

仮定に仮定を重ねての相談

弁護士に相談に来られる中で、結構、対応が難しいのは、相当に将来のことについて、仮定に仮定を重ねて質問された場合です。

私どもも、出来る限り、ご相談者の方のご質問やご相談にはお応えしようと活動しております。

が、同時に不確実すぎる事情下の回答を避けようともします。

誤った回答になる可能性があるからです。

 

基本的に裁判と言うものは、「起こってしまった事態にどう対応するか」と言う問題が中心で、起きる前の仮定への対応はそもそも難しいです。

しかも、一点二点の仮定程度ならともかく、三点四点と仮定が重なれば、相当に不確かな情報にもなります。

①現時点で、まずするべきこと、②次回の相談までにしておくべきことはアドバイスするようにしておりますが、その先までとなると回答が難しいことが多いです。

なるべく一度に多くの情報を聞いておきたいと言う気持ちは理解できますが、より確実な回答のために、仮定の話が重なって、あまりにも将来の話が問題になってくると、

ある程度の回答の上、

これ以上予測外の事態が来たら「また後日来てください」

との回答しかできないこともあります。

 

より確実な対応をするためですので、ご理解ください。

 

なお、その代わりに、状況に応じて、なんどもご相談にきてください。

時折、法律相談=ご依頼とお考えの方がいますが、そのようなことはありません。

法律相談を繰り返して、紛争をご自身で解決される方もいます。

わかりにくい点や聞き忘れた点、追加で聞きたい点などがあれば、何度でも相談に来られてください。

 

時間を置くしかないとき

あなたが、お医者さんに言ったとしましょう。

喉が痛く咳が止まりません。

微熱もあるようです。

お医者さんは言うでしょう、「風邪かと思いますね、薬を出すので、しばらく様子を見ましょう」

そこで、貴方がお医者さんに「絶対に風邪ですか」とか「薬は絶対に効きますか」とか聞いた場合、医師も断言することは難しいでしょう。

 

弁護士もこれに似たところがあります。

事案や資料から、相手にできる請求や反論の目途をつけてアドバイスします。

時には、今の時点ではわからないが、ある方向に当たりをつけて主張してみて、相手の出方を見るということもあります。

しばらく様子を見つつ対応するということもあります。

 

弁護士の業務というのは、医師に比べれば、身近に感じることは少なく、その対応も初めてでよくわからないという依頼者の方も多いかと思います。

時には、結論をすぐに断言しないでの相手の様子を見ながらの対応は不安に感じることもあるでしょう。

専門的な視点から、様々な可能性を潰していきながら、より確実な見当を立てるのは、他の専門職と同じです。

そこは信頼して、任せていただければと思います。

 

 

極端なご要望をお持ちの場合

法的にご相談者の方の希望通りにいかないことは、どうしてもあります。

わざわざ、私どもに相談に来ている以上、個人として、ご自身の中では深い苦痛を受けていることはわかります。

 

私も、被害者のために少しでも有利な主張はできないかと考えます。

おそらく、居酒屋で飲みながら話を聞いていれば、その方の話に全面的に賛同しているだろうということもあります。

しかし、仕事となれば別です。

専門家として、法律上は、その要望には応えることはできないご要望の金額になることはないということについては、はっきり伝える必要があります。

このあたりは、私どもも心苦しいときもありますが、専門家である以上、専門的視点からはっきり回答するようにしております。

 

まとめ

以上、法律相談の限界は記載しましたが、そうはいっても、あくまで相談段階で解決に向けての十分なアドバイスをするのが、基本姿勢です。

いろんな人に、できる限り親切にしようと思い立って、相談対応しております。

 

正直にいますと、弁護士として独立するにあたって、事務所の姿勢として「人に親切に」「精一杯の相談対応」した方が依頼が増えるだろうと思い、活動していた面はあります。

ただ、毎日の繰り返しで、気が付くたびに行動していれば、最近は、それが自然になってきています。

 

いつでも法律相談に来られてください。

 

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