2014.06.09

本人訴訟

本人訴訟

本人訴訟

本人訴訟中に法律相談だけ来る方がおられます。

それは構いませんし、できる限りのアドバイスはします。

もっとも、実際に依頼したのと同様の、一語一句のアドバイスまではできませんが。

もっとも、やはり本人だけで裁判をしてはうまくいかないこともあります。

 

 

弁護士に依頼すべき時

本人訴訟(弁護士を付けない裁判)をしていて、「裁判官が中立でないと感じた」と言われる方がいます。

そういう時は、弁護士に相談してください。

裁判官は中立です。

 

そういう時は、その訴訟中の人は、法律上の重大な主張を見落としていたり、基本的な訴訟手続き上の誤りがあったりということがあったりします。

裁判官としては中立の立場ですので、一方の味方にたって、そこを指摘するわけにはいきません。

本人訴訟中の人は、「なぜ、社会常識的な主張、普通は皆が納得する主張をしているのに駄目なのか」と憤りを感じていることがしばしばありますが、弁護士に相談いただければ「主張の中で、あの一言を忘れてるから・・・」「あの証拠が足りないから」と専門家であれば、すぐわかることもあります。

 

費用の問題や性格、その人なりの考え方などからどうしても本人訴訟でやりたいという人もいるでしょう。

また、裁判も判決も日本語で書いてあるので、読めばわかるような気になるかと思います。

しかし、裁判所での主張というのは、単純な話し合いなどの場合とは違います。

言うべきことや、そのやり方に厳格にルールがあります。

 

 

勘違いしやすいこと

法律は日本語で書かれています。

判決文も日本語です。

これが医師のカルテのようにドイツ語の薬品名が並んでいれば、素人判断は危険と思うのですが、日本語での記載ですので、なんとなくわかったつもりで対応してしまう方がおられます。

 

法曹としての試験

しかし、私たち法曹(弁護士・検察官・裁判官)は、

「1試験2時間前後(短答試験は短いですが)、4日間かけて、11個の試験を受ける司法試験」という試験を受けて、

その後、

「1科目7時間半(昼食時間も含む)、5日間かけて、5つの試験を受ける司法修習生考試」という試験を受けて、

2回の試験に合格の上、弁護士になっております。

これらの試験で試されるのは知識力ではなく、法的思考力が中心ですので、ネットなどで調べればわかる知識だけで判断可能になるものではありません。

法律も判決も、法的思考力を持った専門的視点からの検討と判断が必要です。

 

ご自身に置き換えて

皆さんも、自分の仕事で考えてみてください。

皆さんも、ご自身の仕事として業界で、3年5年10年と経験積んで、学んだからこそ身についた技能や知識があると思います。

業種によっては、特に勉強して取った資格・知識をお持ちの方もいるでしょう。

それがあるからこそ、処理できる仕事があると思います。

全く業界経験のない新入社員が、ネットで調べたから知っていますと言ってきても、すぐに仕事ができるわけではないでしょう。

それと同じです。

 

小括

軽微な事案について、自分なりに調べて参考にされるのはよいとは思いますが、大きな問題がある時は、単純に細切れの知識をネットで拾って判断せずに、弁護士に法律相談される方がよいと思います。

それで残念な結果になられた方も、それなりに見てきております。

交渉でも

時折、相手に弁護士がつかず、一般の方との交渉になることがあります。

裁判でも、相手が弁護士で無いと言うことがあります。

 

ただ、そういう場合、口喧嘩と法的主張、論理と屁理屈の区分がついていないため、主張の内容が混乱します。

そのため、無駄に話を長引かせ、相互にメリットのある(あるいはデメリットの少ない)落としどころがあるのに反発し、結局、時間をかけて、より不利な結論を選択したりします。

そういう訓練を受けていないのですから、当然なのですが、書面は一応日本語で書かれているので、なんとなくわかった気になって反論してしまうのでしょう。

法的主張は、一見、読めば理解できそうですが、実際には、様々なルールがかみ合って出来ているものです。

 

法的訓練を受けていない人との裁判は、例えるとすれば「駒」の動かし方しか知らない人と将棋をやっているようなものでしょうか。

「飛車」を斜めに動かすごとに、「あ、それは斜めに動けないんですよ」と説明していては、勝負がまともに進みません。

 

交渉でも専門会に依頼した方が、結局はうまくいくことが多いです

 

 

本人訴訟で生じやすいこと

これまでの弁護士の経験

私は法律相談のなかで、可能な限りアドバイスをします。

場合によっては、詳細な状況を聞いて、証拠を確認して、「これならばアドバイスだけで勝てそう」と考えて、依頼にならないこともあります。

アドバイスで解決したなら、それが一番よいと思います。

 

ただ、それで、十分勝ち目がありそうであったのに、半年から一年後、「あの裁判負けたんです」と相談に来られる人が稀にいます。

そこで、資料や判決文を見ると、主張すべきを主張していなかったり、道徳的には理解できても法律上は全く無関係な主張を延々していたり、争いのないところに豊富な証拠を出していたりします。

そういう結果を見たとき、私が無理にでも「依頼しなさいと勧めていれば」と思い悔しく思うときがあります。

依頼を勧めるということは、どうしてもお金がかかることです。

お金をかけて「私に依頼しなさい」ということは、見方によっては強引な営業活動をしているようにも思えてきて、なかなか出来ません。

 

以前も書きましたが、弁護士の力で、負ける裁判が勝てることはあまりないかと思います。

しかし、弁護士をつけていないせいで負ける裁判は、あります。

 

一番困ること

一番困るのは、負けているのに、不利な結論になっているのに、本人が気づいていないことがあります。

その場でわからなくても、何年か後に不利な解決をしているということが判明するということはよくあります。

その場で敗訴されるより、勝ったと思った内容が、実は不利であったり、意味がないと気づいた当事者の受ける苦痛は相当に大きいようです。

本人訴訟で一番困るのは、負けていること、不利な和解であることに気づかないことがあることです。

 

兵庫県 西宮市のあさがお法律事務所

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