遺産分割無効確認訴訟

遺産分割無効確認訴訟

遺産分割無効確認訴訟

1 初めに

遺産分割協議に無効原因がある場合には、遺産分割協議無効確認訴訟が可能です。

無効確認ができるのは以下の場合です。

遺産分割では意思に基づいて協議処分するわけですから、意思に欠缺があるような場合など(意志無能力、錯誤など)は無効になります。
*意思の欠缺―内心の真意がない場合です。
詐欺脅迫など、意思表示に瑕疵がある場合は取り消せます。
*意思の瑕疵―動機の形成に問題があったり、意思表示が第三者に捻じ曲げられている場合
担保責任(民法第911条 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。)による解除が認められる場合にも、解除の意思表示を行った上で遺産分割協議無効確認訴訟を提起します。
 
あとは、相続人が欠いている遺産分割協議も無効になります。戸籍を調べればそういうことは無いですが、親族の記憶に頼ると無い話ではありません。(もっとも後述の通り、そういう遺産分割協議はあまりありませんが)

なお、分割協議での遺産の一部漏れなどの場合は、その一部を別途協議すればよいので、先行した遺産分割が無効になるわけではありません。

2 現実的には

以上のように手続きはありますし、しばしば遺産分割を無効にしたいという話はありますが、実際には、なかなか認められるものではありません。

というのも遺産分割協議書は、登記などを行う場合や銀行や証券会社の凍結解除する場合などの関係で、実印と印鑑証明によって作成される場合が多いです。

遺産はたいてい登記移転が必要な不動産か、預金や株の形であるので、実印によることが、ほぼすべてと言ってもよいでしょう。

協議書の記載も記載も登記簿や通帳を確認しながら(少なくとも確認しうる機会は与えながら)、慎重に行われることが多いです。

また、相続関係を明確にするために戸籍一式や法定相続情報なども添付されることも一般的です。

資料をそろえるのに数日日数がかかるのも普通です。

つまり相当に時間と手間をかけて慎重に行われます(少なくとも慎重にされた外観は残ります)。

つまり、遺産分割協議書は

詳細な資料を集めて、数日の時間と手間と費用をかけて、確認の上で作成されたもの

ですから、無効と言える場合は相当に限られます。

 

3 証明

さらには訴訟ですから、証明が必要ですが、

それが証明できる場合は限られています。

特に、この証明が難しく、親族会で強引に決められたとか、あの時は祖母は高齢で判断力がなかったはずと言っても、現実には証明できないことが多いのですよね。

それでも気になった場合は、西宮のあさがお法律事務所に一度ご相談ください。

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